ラーメンとミュージカル

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三国机密(Secret of Three Kingdoms)の話がしたい

三国机密(日本名:三国志 Secret of Three Kingdoms)という中国ドラマ。完走したぜ!!!ひっさしぶりにどハマりしました!!

脚本が神なのは当然として、ビジュアルが私の趣味に刺さりまくりました。内容頭に入れなくても画面見てるだけで楽しくて、こんなに美しさが刺さったのは天盛长歌と延禧攻略以来です。天盛长歌は役者(倪妮と陈坤)、延禧攻略は主に衣装やメイクが好きだったのですが、三国机密はここら辺全部押さえてくれている。しかもYouTubeに全話公式で上がってるからスクショし放題なのよ。一話見るのに時間かかるんだわ!

これも好きあれも好きということで、三国机密の美しさを語りたいと思いはてなブログを開きました…。完全に自分用、文章少なめ、画像多めで美しさを列挙していきます。

ストーリー

と言いつつ一応あらすじ。

後漢末期、群雄が割拠する中、曹操が皇帝・劉協を傀儡にして勢力を伸ばしていた。
遠く都を離れた司馬家に預けられ育った劉平は、突然迎えに来た父に連れられ都に向かう。
その道中、思わぬ秘密を知らされ驚く劉平。劉平は皇帝の双子の弟だったのだ。しかし、劉平が都に着いた時には、病弱な皇帝はすでに亡くなっていた。
亡き兄の遺志を継いで皇帝に成り代わった劉平は、皇后の伏寿と幼なじみの司馬懿と共に漢王朝を再興するために曹操との戦いに挑む!

 (引用:https://bd-dvd.sonypictures.jp/sangokushi/

簡単に言えば、大胆な設定をぶっこんだ三国志。よく知られている三国志では存在感が皆無な漢朝最後の皇帝・献帝を主役に据えています。献帝に双子の弟がいて途中で入れ替わったということ以外はそこまで三国志とは矛盾しない一方、やはりこの入れ替わりというオリジナル設定がストーリーを動かしていくので、三国志を知っていても何が起きるのかわからないのが良い。

テンポが良くキャラも立ってるし、若手が多いにも関わらず皆演技に安定感があるので、ビジュアルが刺さらなくても楽しめる良いドラマです。

 

が、やっぱビジュアルなのよ。

そもそもこのドラマは史上最高に美男美女揃いの三国志として宣伝されてたけど、ゆうてドラマは大体美男美女揃いですよね(まあ三国志では珍しいけど)。個人的には、予告編やポスター画像を見た段階でもそこまで刺さらなかったのですが…

実際に劇中で動く役者や使われる美術を観るとどんどんのめり込みました!!最!!!高!!!以下、ビジュアルの好きなところ列挙!!!(画像は公式のWeiboYouTubeより)

男性陣のくっきり二重!

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はあ〜〜〜〜(クソデカため息)

 

世の中には色々なイケメン・イケオジ・美男子がいますが、私は二重がくっきりして目がぱっちりなイケメンが好きです。加えて彫りが深いとさらに好き。まあつまり陈坤なんだけども。ただ、ドラマでは様々なタイプの見た目をした役者を揃えることが多いと思うので、そういうイケメンってだいたい各ドラマに一人か、いないこともあります。

が、なぜかこのドラマ、4人もそういう系のイケメンがいるんですよね。しかも皇帝・司馬懿曹操・荀彧というメインキャスト。なんで?キャスティング担当者が私と同じ趣味なんでしょうか。

韩东君(司馬懿

その中でダントツで一番刺さったのが司馬懿役の韩东君。

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はあ〜〜〜🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️………🙄🤷‍♀️🤷‍♀️🤷‍♀️🙅‍♀️🙅‍♀️🙅‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️………


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アア!!!!!🙅‍♀️🙅‍♀️😭

本当に神まじで神陈坤に並ぶレベルで好き。彫りが深いのと、眉毛と目の距離が近いのと、眉間で演技をするところが好きすぎて…。

彼を司馬懿にキャスティングした人に本当に感謝したい。というのも、このドラマはオリジナル設定をぶっこむといえど基本的な三国志の筋には矛盾しないよう作られているので、司馬懿は絶対死なないんですよ。最終的に西晋を建てるのは司馬懿の子孫ですからね。

もちろん切ない展開はありますが、ゆうて死なないという安心感はやはり大きい。

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かわいい・・・・・・・・・・・・・(第17話より)


このドラマでは声は他の人が当てているのですが、インタビューとかバラエティ番組で喋っているところを見ると、北っぽい巻き舌がかなり強い感じがします。ハルビン出身だそう。そこもまたよき(もうなんでも良い)。

www.youtube.com

马天宇(楊平/献帝

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か、わ、い、い・・・・・・・・・・

 

主演の马天宇。顔立ちの整い方がすごい。ちょっと小池徹平に似てますね。上唇がツンと上がってるのと、口の端がUの字になってるのがかわいい!

何を見ても美しさは爆発してるんですが、個人的にメイキングでの马天宇を激推ししています。劇中では皇帝なのでそこまでふざけたりしないんですが、メイキングではリラックスした姿が映されていてかわいすぎる。

インタビューで「キャストの中でかわいい担当は誰?」と聞かれて、韩东君も言ってるもの、「天宇かな」と。

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このインタビューで出てた、马天宇が「夕方になったしかわいこぶるわ〜」と言って頬に手を当ててるところ。

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いやかわいすぎん????????かわい子ぶってくれてありがとう。頑張ってスクショしましたが動いている方がかわいいので動画をぜひ見てください。

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さすがに子供の中にいると大人

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皇帝の衣装だけど、よく見ると携帯をいじってる(笑)

谢君豪(曹操

そして!马天宇演じる献帝と対決することになる曹操ですが…

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いや、濃〜〜〜(笑)イケオジすぎる。こんな濃い曹操初めて見たわww

 

曹操は30話くらいまで登場せず、配下によって名前だけ語られ期待値がひたすら上がるのですが、期待を裏切らず登場した瞬間の納得感がすごかったです。司馬懿や荀彧などのぱっちり二重&彫り深のイケメンたちをさらに煮詰めた感じのおじさん。曹操ほどの大物にはこれくらい濃い顔じゃないとやっぱ納得感がないですね(?)

 

他の登場人物に比べてもかなり小柄ですが、それなのに場を圧倒する存在感があるというのが曹操と人となりを表しているようでとても良いです。他のメインの役者は大体20~30代なのですが、曹操役の谢君豪だけ1963年生まれなので、やはり一人目立って良い感じ。

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なんか可愛い(第35話

あと普段の服装より甲冑の方が似合うのが、三国時代の覇権者らしい!!!これが劉備とかだと逆になるのかな。(ちなみにこのドラマは劉備孫権も出てこない)

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第31話

王仁君(荀彧)

曹操の配下として活躍する荀彧。上の3人に比べると出番は少ないですが…

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イケオジのお手本みたいなお顔!!私は司馬懿の次に好きです。注目すべきは二重幅。

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先程の画像をよく見ると…

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二重幅が恐ろしいまでに等間隔wwそしてこの人もまた彫りが深い!!!

 

曹操の配下ではあるが、儒教的な忠義心にあつく皇帝に敬意を払うところがこの優しげな顔とマッチしてる。周りにいたら絶対思想合わないけど。

この王仁君という俳優さんの写真をググると、現代の服装で前髪を下ろしている画像も見つかるのですが、私は個人的に前髪をあげてる方が好きです。そっちの方がこの目と眉毛が引き立つから。おでこも広いし。

今まで全く知らなかったのですが、「如歌~百年の誓い~」「明蘭~才媛の春~」とかも出てるんですね(観てないけど名前はよく聞く)。www.cinemart.co.jp

この記事に載っている「如歌~百年の誓い~」の画像を見て、三国机密での素晴らしいビジュアルはヒゲと被り物があることも大きく貢献していることがわかりました。輪郭が丸型なので、がっつり髪をあげるとなんとなく幼い感じが強調されるけど、ヒゲを垂らして輪郭を覆う被り物をすることで、顔全体が角ばった印象になる。かつ、ヒゲのおじさん効果で幼さが消えてますね。幼いのも素敵だけど。

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私も輪郭が丸いのですが、隠したいときはヒゲを生やせばいいのか??

髪型

王仁君に限らず、 このドラマは男性陣の髪型が最高〜!と思いました。皆基本的に前髪を全部上げ、後ろ髪を結い上げてますよね。人によって似合う髪型は違いますが、私の好きなぱっちり二重&彫り深の顔立ちは、髪をなるべく上げると目鼻立ちが一層引き立つ感じがします。

ドラマの設定によって、特に男性陣の髪型は大きく変わります。一番特徴的なのは清朝の辮髪、ファンタジーでは「前髪上げ+触覚+後ろ髪を垂らす」ことが多いかな。私は延禧攻略などのドラマによって辮髪は克服したというか、むしろこの俳優は辮髪の方がかっこよくね?と思うことまであるのですが、ファンタジーの方はまだのめり込めないんですよね。最近は陳情令の王一博で「美しいな…?」と傾きつつはあるが…

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ファンタジー髪型

https://www.youtube.com/watch?v=tXrGx5NSJQY

このドラマの男性陣の髪型は私が一番好きなスタイルなので、顔立ちが引き立って最高!

番外編:満寵

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この人アライグマにめっちゃ似てない???

パーツの配置が完璧!な女性陣

男性陣は目鼻立ちはっきり系が多いのですが、メインの女性陣(皇后・唐瑛)は割とあっさりめ。目がすごく大きかったり彫りが深いわけではないが、パーツひとつひとつの配置が完璧な感じの美!女!これが男性陣といい感じの対比になって調和が保たれてるんだわ。

万茜(皇后)

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その女性陣の先頭に立つのが献帝の皇后・扶寿演じる万茜です。皇后は楊平を引っ張って漢王朝の復興に動くのですが、ものすごい重責と張り詰める緊張の中、はじめはリラックスした表情はほとんど見せません。だいたい真顔、楊平に気を許すにつれてブチ切れたりするのですが、この微妙な表情の動きが本当に美しい!

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万茜は「脱身」という陈坤主演のドラマでヒロインを演じており見たことがあったのですが、このドラマがマジで面白くないのと万茜のキャラクターもそんなに魅力的でなかったので印象に残りませんでした。が!三国机密での皇后としての万茜は本当にすごいです。気高く責任感が強く威厳がある姿、一方で優しくて慈愛に満ちた楊平に心を許していく過程の描き方、圧巻の演技すぎる!!!このドラマはみんな演技に安定感はありますが、その中でも際立っています。
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目が切れ長というのか?瞳の中央があまり膨らんでいないタイプだと思うのですが、それが怒ったり迫ったり泣いたりする時の迫力を増している気がします。あと鼻から顎にかけてのラインの美しさがえぐいですな。唇が薄くもなく厚くもない絶妙な配分…神すご。

 

あと皇后のメイクチームには拍手を送りたい。目尻に濃くピンクを入れて目頭に向けて徐々に薄くしていくアイシャドウの入れ方が芸術的。

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https://youtu.be/CIXMshgccuQ

董洁(唐瑛)

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劉弁(前の皇帝だが、廃位され弘農王に落とされた)の妻・唐瑛。妻といえど劉弁はすでに亡くなっており、色々あって今は刺客をやっています。色々ありすぎ。はじめの方は弘農王の祠を守っているという設定ですが、司馬懿に猛アタックされて恋に落ちます。
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唐瑛は刺客ということもあり、宮中に王妃として謁見する時以外は基本メイクが薄めです。これが美しい〜〜のよ!!

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なんという透明感!横顔の鼻から顎にかけたラインが特に美しい。

 

あと衣装&メイクチームが特に見事だなと思ったのが、唐瑛が王妃としての身分で何かをする時、衣装も髪型もメイクも豪華なのですが、そうでない時と比べてぐっと老け込んで見えるんですね(綺麗だけど)。皇室の中でも、唐瑛は特に王妃という身分によって制限されてきたことが大きく、身分に押しつぶされているようにも見える。重圧が顔に出ているのがさすがだなと思いました。

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任紅昌・郭嘉、甄氏・曹丕カップ

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皇后・唐瑛以外の重要な女性陣は、くっきり二重ぱっちりお目目系の美人が多い。彼女たちとカップルになる男性陣はあっさりめの役者が配置されていて、これもバランスが保たれて画面が美しい。ただ、任紅昌だけ、髪型どうにかならんのか?と思ったけど…。絶世の美女の設定だし顔立ちは確かにそうなのだが、髪が妙にダルンダルン…

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任紅昌・郭嘉

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甄氏・曹丕

任紅昌と甄氏、あと呂飛の娘・呂姫(この子もお目目ぱっちり美人)が勢ぞろいして活躍するエピソードがあり、その動画のコメントに「甄姬吕姬貂蝉的眼睛都大的有点吓人,只有皇后的看着自然好看(甄姬・吕姬・貂蝉の目はちょっと怖いくらい大きくて、皇后の目だけ自然に見える)」とあって笑いました。

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私は三国志は横山三国志で読んだくらいで全く詳しくないのですが、従来の三国志に比べて、このドラマは三国志に出て来る女性を相当現代的に解釈していますね。オリジナル設定をぶち込んでるからできるとも言える。

従来の三国志だと女性キャラクターは運命に流されるだけ、政治に参与するにしても強調される武器は美貌だけみたいな人が多いと思いますが、このドラマはまず彼女たちが何をしたいか、何を大切にしているかがはっきり示され、人となりがきちんと描かれている。美貌を武器にするにしても、それを武器にするだけの知性が描かれ、皇帝などの男性キャラクターは彼女たちの活躍への尊敬の念をきっちり示す。

個人的に、甄氏のなんとも冷めた感じが好きです。悲劇の美女として有名ですが、このドラマの甄氏は周りに翻弄されるだけではありませんよ。

色調

このドラマは演者だけでなく、美術品や照明の入れ方も完璧に美しいんです!みてよこれ。

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や・ば・く・な〜〜〜〜〜〜い?????????

最初に皇帝の寝殿が燃えてしまうので、皇帝・皇后は曹操の家に一時的に住んでおり、そこの部屋も綺麗なのです。が!ストーリーが進んで皇帝・皇后が元の住まいに戻ってきた時、部屋の壮大さ、装飾品のセンスの良さに目がくらみました。朱色の絨毯が本当に素敵。

このドラマ、照明が全体的に抑えめなんですよね。衣装の色も、他のドラマに比べたらだいぶ抑えめ。そのぶん美術品の金色が浮き上がってくる、渋さがたまらん!役者が華やかなのでここも調和が保たれています。

 

室内だけでなく外ロケでも、抑えられた照明が自然の緑を綺麗に映します。f:id:musicallyrics:20210331184220j:image
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美しい山水が〜とか言って映し出される自然が本当に美しいから参っちゃうよね。結構ガチで映画館で観たい…

 

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美しさばかり語ってきましたが、脚本も本当に見事でした。とんでも設定がぶっこまれてるし、献帝が主人公という三国志の裏話的なストーリーではありますが、それぞれのキャラクターの描き込みがとても丁寧です。登場人物同士の関係や感情の変化が、不自然なところがない。また、例えばなぜ献帝曹丕に譲位したのか、司馬懿とその子孫はなぜ最終的に曹氏を滅ぼしたのか、などについて、ドラマの中で納得できるようきちんと説明されています。脚本のレベルの高さは私が今まで観た中でトップ3に入ります。

最終回を観てから数日経っていますが、まだまだ思い出して最後あのキャラクターは何考えてたのかなーとか、今どうしてるかなーとか(三国志なので今もクソもないが )考えてしまう、本当に良いドラマでした!ちょっと経ったら2周目行こうかな!

 

離人感について

小さい時から、自分自身を違うところから見ているような感覚が常にある。この世界とは違うところに意識があって、その意識がこの世界で生活している自分を見ている感じである。小さい時は「自分の人生を絵本で見てるみたい」と思った記憶がある。

この感覚は人類共通ではないことに気づいたのは結構最近で、数年前だったように思う。ふとこの感覚について何人かの友達に話してみたら、いやそんなこと思ったことないわ、と言われることが多かった。感覚としては理解できる人がいても(例えば飲み会とかでふと「これはなんなんだろう…」と思うことがあるとか)、それがずっと続いている人には会ったことがない。というか飲み会とかで「これはなんなんだろう…」と思う感覚も私のとはまた違う気がする。

それでこの感覚は何だろうと思ってネットで検索しても、ほとんど情報が出てこなかった。

これだけ情報が溢れた時代にも納得のいく説明がいかないような、この感覚を持っているのは我ながら結構おもしろいと思う。なので「この感覚」がどのようなものなのか書いてみる。

離人症と似ているが、違う

今まで生きていて、「自分自身を違うところから見ているような感覚」というのはあまりにも普通にずっと存在していたので、具体的にどういうことか説明するのは結構難しい。なので、検索で見つけた似ている事例を引っ張ってきて、ここは同じここは違うと言うことで説明してみたい。

自分を遠くから見ている、というと、まず検索で引っかかったのは離人症だった。

離人症とは、自分が自分の心や体から離れていったり、また自分が自身の観察者になるような状態を感じること。その被験者は自分が変化し、世界があいまいになり、現実感を喪失し、その意味合いを失ったと感じる。慢性的な離人症離人感・現実感消失障害 (DPD)とされ、これはDSM-5では解離性障害に分類される(DSM-IV離人症性障害)。

ある程度の離人症や現実感喪失は、一時的な不安やストレスなどによって誰にでも起こり得るものである。慢性的な離人症は、重度の精神的外傷、長期持続したストレス・不安などに関係している。

(引用:離人症 - Wikipedia

 「自分が自身の観察者になるような状態を感じる」という説明は自分にも当てはまっている。しかし、どのサイトを見ても、離人症はストレスと結び付けられて説明されている。離人症と診断された人の症例やブログを見ると、うつ病強迫性障害などの治療を受けている方が発症することが多いと書いてあったり、「世界が色褪せて見える、見ているものに生命感を感じられない」という症状が語られたりしている。

これが私には当てはまらない。私は小さい頃から離人感があるが、虐待を受けた記憶はない。というか精神的に参るくらい強いストレスを人生で受けたのは大学入学後1年間で、この間離人感は普段と変わらず正常に作用していた。というか、むしろ辛い時ほど辛いという感情にしか目がいかないので、離人感がなくなる気すらする。離人感を理由に世界が色褪せて見えることはない。

あとWikipediaでは「自分が自身の観察者になるような状態になる→現実感を喪失する」みたいな感じで書かれているけど、これは物心ついた時からずっと離人感がある人には当てはまらないなと思った。私はそもそもずっと自分が自身の観察者で、その状態が現実なのだ。だから世界が意味合いを失ったとも思わない。世界の意味合いを考える自分を見ている自分がいるだけである。

 

離人症は、症状の説明の30%くらいは自分にも当てはまるけど、そもそも強いストレスが原因の症状なので、ストレスとは関係なく常に離人感を感じる私の状況とは異なるなと思った。

離人感にも色々ある

その次に出会ったのがこの記事だった。

www.e-aidem.com

この記事は離人感を精神疾患として説明していない点では、私の感覚と似ているし、この記事を見つけて、「あ、似たような人がいた」と思って嬉しかった。ただ、違う点も結構ある。というか「2つの穴から外を見てる様な感覚」、つまりどこか違うところから自分を眺めている感覚以外は全部違う。具体的には、

  • 「ここにいることを不思議がらない自分をしきりに不思議がる」→この感覚は私にはない。筆者は「離人症における問いは『何故これまで、このことが気にならなかったのか?』という形で起こる」と書いているが、私は記憶がある限りずっと離人感があるので、「ここにいることを不思議がらない(=離人感がない)自分」がなかった時代がない
  • 「言葉の世界から脱落したとき、人は離人症の入口に立つのです。」→私は言葉の世界から脱落したことはない気がする。人間の認知自体が言葉でかなり定義されていることは理解しているが、これは知識を得た結果そう考えるだけであって、自分で文字から意味が分離して消えたと体感したことはない
  • 「肉体があることへの違和感」→特にない
  • 「(家族に対して)この人たちは誰なのだろう」→ここが一番の大きな違いかなと思った。私の場合、離人感が他人に向かうことがない。これは自分でも変だなと思うし説明が難しいのだが、「この世界で生きている私」自身のことはどこか違うところから眺めている自分がいるんだけど、この世界観は他人には適用されないと思っている。「この世界で生きている私」にはそれを眺めている私がおり、それによって「この世界で生きている私」は相対化されているけれど、他人に関しては彼らの存在を相対化するような存在がいるとは限らないと思っているというか…。もしかしたらいるかもしれないけど、それは私が決めることじゃないという感じ。なので、例えば他人の発言に対して、「他の世界があるのになあ、この世界は絶対じゃないのになあ」とは思わない。この世界が絶対じゃないのは私(とそういう感覚がある人)だけで、他人には関係しないと思っているからだ。

 

まとめると、私は、ただひたすら、もう一人の自分が、この世界で生きている自分を見ている感覚がある。だからといってこの世界は偽物だから生きる意味がないとか変える意味がないとかは思わない(というか私はフェミニストとして毎日社会にキレている)。ただ、そういう自分を見ている自分がいるというだけだ。

ただこの感覚がずーっと同じ濃さで続いているかと言われるとそういう訳ではなくて、怒っている時、悲しんでる時、喜んでる時など、感情が大きく動く時には忘れている。逆に「自分を見ている自分」を強く感じるのは感情が平坦な時や考え事をしている時、例えば散歩中とか。

この感覚が私の人生に何か悪影響を及ぼしたと思うことはないが、「この世の真理」を追求する系の思想を勉強しようと思っても「いや、この世界、絶対じゃねえし…」と思っていつも途中で放り出してしまう…と書いていて思ったが、これは上で書いた「離人感は他人に影響しない」というのに矛盾しているなあ。まあこれは感覚であり、筋の通ったものではない。

 

なぜ自分を見ている自分がいるのかは未だにわからないし、精神疾患でもない離人感の研究なんて進まないだろうから多分一生わからないと思うけど、今のところ私はこの感覚は脳のバグだと思っている。

数年前にネットで脳の手術を受けた人の記事を読んだことがある。その方は小さい時から鬱の症状があり、手術自体は鬱とは関係ない脳の疾患のためのものだったが、手術で脳の特定の部位を切除したところ、鬱の症状までなくなったとおっしゃっていた。(それだけ覚えていて記事の他の内容やなんでその記事を読んだのかを覚えておらず、記事は見つけられなかった)

それまで私はこの離人感は私の生育過程で生み出す何かがあったんじゃないかとか今の自分の人生観が生み出したものじゃないかとかぼんやり考えていたのだが、この記事を読んでなんとなく、この感覚は単に脳のどこかがバグって作り出した感覚じゃないかと思うようになったのだ。まあ私の場合特に困ってないからバグというのかもわからないんだけど。

あと、精神疾患としての離人症には「強いストレスを受ける→離人感を抱く」という因果関係があるが、ストレスに対する反応の可能性は無限にある中で、人間には離人感が反応として出るということは、離人感は人間にとってそもそも人間が抱きやすい感覚なのでは?とも思った。人間の脳にはそういうスイッチが存在していて、私はもともと押された状態で生まれてきて、人によっては何年か経ってから押されたり、ストレスによって押される人もいるんだろうか。わからない。

もう一つの可能性としては、本当にこの世界以外に別の世界が存在していて、私は実はそこの世界の記憶を継承している選ばれし者で、今は普通の人間だけどいつか力が目覚めてこの世界を救うことになるとか。というのはさすがに冗談だが、何かのきっかけでスイッチが切られない限り一生この感覚と付き合っていくことになるだろう。だから他の世界の記憶を継承した選ばれし者みたいな、映画のような楽しい空想をして、楽しく付き合っていきたい。陰謀論にハマらないよう注意が必要だが。

暇日記(2月後半)

前回

musicallyrics.hatenablog.com

2/16

犬のブラッシングをした。細くて柔らかい毛なのですぐに絡まってしまう。特に犬が自分で後ろ足で耳の後ろをかくと、そこらへんの毛が絡まって犬にとってはさらに痒くなるという悪循環に陥る。絡まった毛を手で無理やり解いていたら、犬が耳を触ると警戒するようになってしまった。近くで工事をしているらしく、結構な頻度でものすごい音がする。

 

SaweetieとDoja CatのBest FriendのMVが衝撃的にかわいい。衣装が良すぎる。曲が始まって最初に二人が着ているツイードのセットアップ、かわいすぎる!その後Saweetieが着ている車の色と同じシルバーのスパンコールで埋め尽くされたキラキラの衣装もゴージャスだし、プールサイドでDoja Catが着ている水色で縁取りされてピンクや青や黄色が入り混じったビキニもポップなのにDojaが着ると高級感が光る。歌詞も全体的にアゲ↑なのに妙に気怠いのが良く、特に「And she so bad that I just can't take that bitch nowhere(こいつはやばすぎてどこにも連れて行けない)」は本当にやばい女友達に抱くリアルな感情で笑える。

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2/17

キングダムを3時までかけて読み切った!壁と蒙恬がしみじみと好きだわ…。王賁は実世界にいたらめちゃくちゃ悪口を言うと思う。同族嫌悪である。キングダムは実は女性だった!というキャラクターがかなりたくさん出て来るので結果的に様々な女性が登場するのは居心地が良い。が、もれなく全員性的な目で見られる描写が入るのがまだまだだなという感じがする。

 

今日は珍しく忙しい。浜崎あゆみの愛犬が22歳で大往生したらしく、妹が犬を奮い立たせている。

 

2/18

眉毛やらまつげやら髪やらネイルやら、プロに頼んで施術してもらっていると、自分がメンテナンス中の機械のように感じる。自分は目をつぶって台に横たわったり、椅子に深く腰掛けてるだけなのに、体の一部が他の人の手によってみるみる修理されていく。お金持ちになることがあれば全ての施術を同時にやってみたい。

 

2/19

浮世絵が見たくなって、国立博物館に行った。浮世絵の抜けるような青さが好きだ。今日は良い天気で、博物館前の広場では人がくつろいでいる。とても平和。

 

そのあと神保町に行った。ずっと東京に住んでいるが、神保町には初めて来たと思う。本当に古書店がたくさんあるんだなと思った。若者も意外といる。地味な服装の人が多いが、ここでは年季の入った建物にそれが馴染んでお洒落に見える。書店に紛れて魚金がある。渋谷のイメージが強かったが、うまく馴染んでいて笑えた。本を二冊買った。

 

2/20

今日は犬を検診に連れて行ったあと、家で本と漫画を読んでいた。年を取ってもこういう暮らしがしたい。都心のマンションを改装して一人で暮らして、引きこもるのも外出するのも自由にやりたい。

 

2/21

今日もいい天気だった。目覚ましをかけずに起きて、誰かのストーリーで広尾のカフェがアボカドトーストを出していることを知ったことを思い出して食べに行った。広尾はものすごく久しぶり、街をぶらつくのは初めてかもしれない。街全体が本当の富裕層の香りがする。トレーニング用のスポブラで歩いている人を何人か見かけた。2月なのに?!

漫画の集荷の時間が迫っていたので早めに切り上げて電車に乗ったが、思ったより早く着きそうだったので途中で降りてタピオカ屋に行き、アロエ入りパッションフルーツティーを注文した。予定に縛られず思いついたまま行動できて幸せだなと思った(漫画の集荷はあるけど)。コロナの流行で思わず獲得した暇だったが、今は😣守りたい、この生活😣という気分になっている。家に帰ったが、指定した時間より早くに集荷が来ていて親が出してくれていた。

 

2/22

今日はずっとインスタで見ていたNo.というカフェに行った。内装はシンプルで落ち着いていて、日当たりがよい。インスタが人気なおしゃれなカフェって、混んでるか常連向けかで接客が適当なこともあるけどそんなことはなくとても親切で、ドリンクも美味しかった。代々木上原という土地柄か、渋谷のカフェほど人の出入りも激しくない。

緑色のクリームソーダを頼んだのだが、ソーダがメロンというよりきゅうり味でさっぱりしていてよかった。ソーダが気に入ったのでアイスクリームはいらないなと思った。アイスが溶けてくるとソーダと混ざってしまい、せっかくのさっぱりしたきゅうり味がぼやけてしまう。アイスなしで注文することはできるのかな。近くのお客さんがコーヒーモクテルを注文するたびにコーヒーの良い匂いが香って深呼吸したくなる。「台北人」という本を持って行ったのだが、カバーが綺麗な黄色でクリームソーダに合っていた。

 

2/23

結構前に観た番組だが、あちこちオードリーでインパルス板倉が「小説を書いて出版しているのは、自分が生きた証を後世の人が見てくれるんじゃにかと思うからのもある」と言っていたのが心に残っている。

私も似たような経験があり、ただし私は後世の人側だった。大学の授業で第二次世界大戦以前に国境をまたぐ移動をした人や集団の自伝を読んでレポートを書くというものがあり、私は日本の植民地統治時代に台湾東部で開拓村の村長をしていた人物の自伝を題材にしたのだ。日本から台湾に行った人について書きたいなと思って検索したら、その自伝の国会図書館の蔵書ページが出てきた。自伝は1970年代に自費出版されたものだった。村の運営方法や台湾に来た動機などを結構丁寧に説明しているし、軍人でも知識人でもない一般人の征服者の視点はあまり読んだことがなくて面白かった。

 

著者はもう亡くなっていた。出版後50年も経って、著者になんの縁もゆかりもない人間が手にとってじっくり読んでいるのはすごく不思議な感じがする。しかもこの人は自費出版で、国会図書館自費出版でも献本できるから、誰でもやろうと思えばできるのである。自分がどんなに平凡な人間で自伝の内容がつまらなくても、誰が何に面白さを感じるかはわからない。誰かが見つけるかもしれないしそれでレポートを書くかもしれないのだ。だからインパルス板倉が言っていることもよくわかった。(まあ書籍に限定しなくても、将来的には彼が出てるテレビ番組のアーカイブももっとアクセスしやすくなるような気がするけど)

 

2/24

ジムに行こうと思っていたがお昼ご飯を食べたら眠くなったのでやめた。

 

2/25

ネイル、ジム、バイト。卒業式の関係で、今回のネイルは時間が短いので、いつも先端が欠けるんじゃないかと思ってできなかったフレンチネイルにした。

 

2/26

進撃の巨人を10巻から30巻まで読んだ。面白い。ものすごく面白い。ジャンルをなくせば、鳳凰の飛翔や恋する惑星と同じくらい取り憑かれた(客観的に言えば鳳凰の飛翔の完成度は他の2つよりずっと低いと思うが)。精巧かつ非現実的な設定を通して現実的な人間を描いているのが圧巻である。長く続くシリーズによくあるように主人公たちが立ち向かう敵は移り変わるが、単純に戦法を変えるとかいう話ではなく、毎回まったく質の違う戦いになるのが飽きない。主人公のエレンでさえ訳のわからん精神論を持ち出さないのもいいし、全ての原動力が自由への渇望なのも響く。

 

最近中国ドラマにはまっていて忘れていたが、やっぱり私は映像や音声より活字で情報を得るほうが好きである。情報が入ってくるスピードが全然違う。勉強している言語の音を聞くのは好きだし、ウォンカーウァイなど一部の映像作品は音や画自体が好きだからいいんだけど、単純にストーリー目当てだと映像や音声はどうしても遅いなと思う。情緒もクソもない。

 

2/27

10時ごろ起きてリビングに行ったら、何日か前に注文した香川照之が書いた鬼子来了の撮影日記が届いていた。ちょっと読むつもりで本を持って自室に上がったら、本から目が離せなくなってしまった。それで結局、顔も洗わずパジャマのまま、メガネをかけて読み通した。

中国魅録―「鬼が来た!」撮影日記

中国魅録―「鬼が来た!」撮影日記

  • 作者:香川 照之
  • 発売日: 2002/04/26
  • メディア: 単行本
 

昨日深夜まで進撃の巨人を読んであまりの面白さに感動していたのに、またすぐ面白いものに出会ってしまった。中国映画「鬼子来了」に出演した香川照之が、撮影期間中ほとんど毎日つけていた日記をまとめ直したもので、日記プラスかなり加筆されているので相当なボリュームがある。が、毎日毎日いろいろなことが起きて、進撃の巨人のようにまったく飽きない。撮影は1998年、日記に登場する舞台は北京や唐山、蔚県などだ。今もそうだけど、北京と農村では状況がまっったく異なることが書いてある。しかし、中国は1年でも様変わりするとよく言われるが、20年前である。北京であっても私には想像が及ばない。

仕事をしたくないトラックの運転手が道のど真ん中でスクラムのように車を組んで渋滞を起こしたり、衣装部に預けた衣装は5割が紛失されたり、撮影用の食品を勝手に食べるならともかくそれを売る(⁈)エキストラ(?!)が出てくるなど、無茶苦茶なエピソードが満載だ。日本人からすれば異常だけど当時の中国の状況としては普通なのかな?と思ったら、結構なスタッフが監督によってクビにされていて笑えた。ダメなんかい。

映画内で通訳役をし、現場でも通訳を兼ねていたという袁丁が特に面白くて、通訳を全然真面目にやらず、文句を言った筆者には「あんた、日本人一人になったらどうする?僕がいなくなったら言葉を訳す人がいないよ」と脅しをかけ、一方渋滞を故意に引き起こした運転手には「あいつらクソだよ、恥ずかしい、みんな生きてるだけ無駄だよ、税金の無駄っ、食料の無駄っ‼︎」と叫ぶ。今書いていても声出して笑った。通訳役としての彼は映画で観ているので、なんとなく声が再生できるのも笑いに拍車をかける。とにかく色々な人と色々な反応があり、日本対中国というよりも、日本人の目から見た様々な中国、という感じがした。

読み終わってもまだ14時。今日もいい天気。

 

2/28

日記がとりあえず1ヶ月続いた。すごい。暇な日常を記録しようと思って始めたが、若干飽きてきた。が、日記を続けられる人の気持ちもわかってきた。毎日いちいち書き留めたくなるような出来事は特に起きないのだが、それでも何か書こうとしてパソコンに向かうと、意外と昨日や一昨日とは違う何かが起きていることに気づくのである。生活って感じ。この調子で3月も続けられるだろうか。

暇日記(2月前半)

毎日びっくりするくらい暇である。いまは卒業を待つだけの状態なのだが、コロナ禍のため友達に会うまでもなく毎日暇している。こんなに暇な時期は今後長い間ないだろうと思って、日記をつけることにした。

 

1/31

今日は12時におきて、犬の散歩に行き、図書館で本を借りた。

 

図書館では漢方の本と、漢文の書き下しに関する本を借りた。漢方の本は医師が書いている。先ほどざっと読んだのだが、目次を見るとまず漢方の歴史的発展や中国・日本での受容のされ方を論じた後に、実際の処方の仕方について論じる、と書いてある。構成は面白そうだが、実際読んでみると歴史や他の地域の医学との比較など、人文系の手法が必要になるんじゃないかという部分の記述が緩く、これ主観じゃねとか根拠が示されていないとかさっき言ったことと矛盾では?とか、そういう部分がありすぎて途中で読むのをやめた。

漢方: 中国医学の精華 (読みなおす日本史)

漢方: 中国医学の精華 (読みなおす日本史)

  • 作者:石原 明
  • 発売日: 2014/03/12
  • メディア: 単行本
 

しかし、医師が書いているだけあり、実際の処方の部分は読んでて面白い。まあ合ってるかどうかも私には判断できないのだが。漢方の仕組みや効能は西洋医学で解明されていないことが多く、著者も体系立った説明はしにくいけれどなんとかまとめて説明しようとしているのが面白かった。

 

今すごく前近代の中国や中国文化に興味がある。理由は簡単で、中国の時代劇にハマったからである。特に後宮ものは毒殺計画がよく登場するが、これが意外と伝統文化をよく見るきっかけになる。食事に直接毒を盛るのは芸がなさすぎると思われるのか、茶器や装飾品などの小物に毒を仕込まれることが多いのだが、この小物自体が凝っていて美しい。人が倒れると侍医の登場、脈を計って症状を見極め、解毒薬を処方する。大体飲んだ瞬間毒は消える(おかしいだろ)。また、皇子たちの権力闘争ものだと囲碁点茶が皇子と皇帝のコミュニケーションに使われることが多い。日本の伝統文化にハマる外国人で、時代劇を見て憧れたことがきっかけの人もいるのだろうか。

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2/1

今日は犬の散歩に行って、ネイルに行き、一人で昼ごはんを食べ、歯医者に行き、帰って寝てご飯を食べ、ゴロゴロしていま日記を書いている。

 

ここ数日clubhouseが流行っていてわたしも登録した。他人のどうでもいい雑談を聞くのは結構楽しい。今のところ一番面白かったのは「It’s 18° in New York and flights to Miami are $21」という題のルームだ。マイアミに行くチケットを取るかどうかという話を本当にしていた。こんなどうでもいい会話ある?

 

2/2

今日は新しく銀行口座を開設して来た。外国の銀行に残されている奨学金を日本の銀行に移したくて、外貨に強い銀行に行ったのだが、そこは本当は資産運用のための銀行らしく、全身ユニクロの私が口座開設したいというと大丈夫か?という目で見られた。

 

2/3

今日は本当にやることがなくて参った。ものすごく観たい映画やドラマがあるわけでもないし、漫画はクレカ決済が失敗したのでまだ発送されていないし、本も読む気がしない。今日は予定もないくせに早めに起きたのがよくなかった。結局ドラマを1話だけ観たが、なんとなく途中でやめてしまった。

 

2/4

今日は皮膚科に行って、カラオケをして、本を読んで、家に帰って日記を書いている。

 

カラオケに行くのはものすごく久しぶりである。声楽をやめてからあまりにも退化しているのでとりあえず声を出したくて、一人で行ってきた。店員のやる気の無さとか絶妙な汚さとか、記憶と変わっていなくて安心した。私もほうじ茶をポットから注ぐ際に大量に机にこぼして汚さに貢献した(ちゃんと拭きました)。周りを気にせず思い切り歌うのはやっぱり気持ちいい。どこらへんの音階が出にくくなってるか、どの発声がやりにくいかわかったのも良かった。会員登録して学割を使えるようにしたので、またすぐ行くだろう。

 

私は自分の大学生活や、これまで自分がやってきたことに満足しているが、いろいろなことを成し遂げたから満足しているのではなく、今が楽しいから満足しているんだろうなという感じがする。過去に満足するかどうかは、過去に何をしたかではなく、今どういう状態にあるかが決定する感じがするのである。つまり自分の人生に満足するために重要なのは、今の自分の生活を生きやすくするために力を注ぐことではないか。

 

2/5

今日は大学の図書館に行って卒論の英語翻訳を進めた。直接引用した箇所は原文をそのまま写す必要があるので、図書館に行ける間に史料をもう一回見て写しておこうと思ったのだ。しかしいざ進めてみると直接引用のほとんどがKindleや書籍の形で手元にあるものからの引用だった。

 

2/6

この1年くらいずっと考えていたDVDどうする問題が解決した。

ウォンカーウァイの配信されていない3作品をDVDで手に入れたのだが、Mac外付けのDVDプレイヤーが壊れ、リビングで家族がいる中観るのも嫌で、どうしたもんかなと考えていた。壊れてすぐ、安いプレイヤーを買ったんだけど、よう分からん不具合が起きて結局再生できなかった。純正のを買えば動作不良は大丈夫だろうけど高い。と、考えていたのだが、おととい気づいたのよ、ポータブルDVDプレイヤーというものの存在に。

アマゾンで調べてみると6000円くらいだし、外付けのDVDプレイヤーあるあるの謎の動作不良レビューがない。それに外付けだと机の上に水平にディスクを置かないと上手く再生できなかったことがあったのだが、そのポータブルプレイヤーはそこまで繊細でもなさそう。DVDディスクが取り出せないヒヤッと体験もしなくてよさそうである。

 あと、もうひとつ決定打になったのが、ツタヤの宅配サービスで何気なく「チェン・クン」と検索したところ、彼の20年前くらいのドラマがめちゃくちゃ出てきたことである。雨のシンフォニーもさよならバンクーバーも、DVDボックスを買うしかないと思ってたのに!ということで、1年悩み続けていたのにものの10分で即決してポータブルプレイヤーを買い、ツタヤに登録した。

 

しかし冷静に、高校生の時は私はゲオに通いつめてアメトーークのDVDを大量に借りていたわけで、そこから5年くらいしか経っていないのにもかかわらず、DVDで再生するということが完全に昔の技術のように感じるのがおかしく思える。チェン・クンのドラマが観たくて配信になかった時、ツタヤの在庫を検索するということも簡単にできるはずなのに考えもしなかった。ごめんツタヤ、ありがとうツタヤ。何はともあれ、これで私は自分の部屋でDVDが観れるようになった。

 

2/7

二度寝して12時に起きた。夜更かししたのかと思いきや、昨日は普通に0時過ぎに寝た。特にやることがない今、活動時間は12時間程度にとどめておくのがちょうどいい。皮膚科でもらったビタミンCを飲んだ。今日は本当に良い天気。

 

2/8

今日は五反田の台湾の朝ごはん店にを諸々を買いに行った。買ったのはおにぎり、サンドイッチ、パン5種、豆乳だ。
今まで2回行ったことがあり、だいたい全メニュー頼んだ気がする。いちばんのお気に入りはおにぎりだ。日本のおにぎりとは全く異なり、縦に少し長い形で、中になんて発音するかわからない台湾の食材がたくさん入っている。今度調べようかと思ったら、お店のインスタに具材が詳しく乗っていた。

酸菜、煮卵、花生粉、油條、塩大根漬、肉鬆、餅米。Wikipediaによると、酸菜とは野菜の漬物らしい。確かにそんな感じのが入っている。油條とは細長い揚げパンのこと。これは中国に旅行に行けば一回は見るだろう。御徒町の中華料理屋でも朝ごはんとして食べたことがある。肉鬆がいちばん謎の食べ物だが、要するに豚肉をそぼろ状に乾燥させたものらしい。日本のそぼろよりも塩辛く味付けされている気がする。ご飯にとても合う。


おにぎりのサイズは拳2個分くらいで結構大きいのだが、ご飯の量が少なく、具材も色々入っていてすぐに味が変わるので、飽きずにサクッと食べられる。仕事中、お昼ご飯に食べられたらぴったりだろうなあ。朝9時開店で五反田なので、仕事が始まったら平日は来れないだろうけど。豆乳はコーヒーの持ち帰りみたいに紙カップに入れてくれる。普通の豆乳以外に黒糖豆乳などいろいろあり、私は黒糖豆乳をさらに甘くするのが好きである。緑茶に砂糖をぶちまけるアメリカ人みたいな飲み方…

 

このお店は入っているビルの外装も内装もとても可愛い。ビルの壁は茶色いタイル、2・3階は黄色に塗られているが、ベランダは少しくすんだ青色で塗装されている。2階の窓には虹のような模様が描かれていて、上の方だけ見ると幼稚園のような色合いである。店は1階にあり、道路の角を削る形でガラスドアがある。ドアの周りには幹が細い木が二つ植えてあり、そのうち一つの木の葉っぱの後ろをよく見ると「東京豆浆生活」という店名がガラスに書かれているのがわかる。


コロナの状況に応じて、テイクアウト専門にしたり、イートインを再開するにしても入場人数を制限したりと色々と対策を打っているようだ。しかし、何をしようと開店直後は割といつもお客さんは長蛇の列を作っており、これだけ人気店ならコロナ対策はより一層大変だろうなという感じがする。しかしここは本当に何を食べても美味しいので、長くやってほしいし、可能なら私の行動範囲内に第二店舗を出して欲しい。五反田にはこの店に来る以外に本当に用事がない。

 

2/9

今日はジムに行ってバイト。もうかれこれ1年以上ジムに通い続けている。誰とも話さず黙々と何かをやることが好きなので、自分の気質に非常に合っていると思う。好きなだけ自分を追い込むのは楽しい。

 

2/10

図書館からの帰りに音楽を聴いていて思い出したが、最近好きなバンドの、公式アカウント以外メンバー全員のツイッターをアンフォローした。失言があったとかではなく、インスタライブやツイートを見ていて、ふと実際この中にいたらクソつまんなさそうだなと思ったのだ。良い悪いではなく合う合わないである。彼らの音楽は好きだから、SNSは追わずに音楽とライブ情報だけ追おうと思う。

チェン・クンに関してもこれと同じことを思った。最近中国語字幕が理解できるようになってきたので、彼のYouTubeに上がっているインタビュー動画とかバラエティをかたっぱしから見ていったが、実際周りにいたら同族嫌悪で嫌いになりそうなタイプだなと思った。インタビュー動画を数本見ただけの人間にこんなことを思われるチェン・クンも気の毒だが、でも見れば見るほどそう思うのである。顔がタイプすぎて中身まで神格化していたんだと思う。インタビュー動画やなんやらは見るのをやめ、彼の作品に集中することにした。やっぱり美しいけどよくわからない存在が一番魅力的に思える。

 

2/11

今日は二度寝して13時に起きた。そこからダラダラ顔を洗ったりして犬の散歩に行き、帰ってバイトをしている。

 

昨日バンク・オブ・アメリカと格闘した後に3時くらいまでキングダムを読んでいた。40巻くらい、呂不韋と政の戦いに決着がついたところまで読んだ。

最終局面で呂不韋が自らの政治思想を語り、政がそれに反論する場面がある。呂不韋は秦を経済の中心地とすることで各国を富ませ戦争を減らす、対して政は中華を統一することで平和を実現しようとする。呂不韋が言っていることは新植民地主義、政は帝国主義に似ていると思った(政と呂不韋は一応平和実現を目的としているが)。経済で統一するのと領土を統一するの、どちらが平和により近づくかというのは答えがなくて、そこを巡って政と呂不韋の違いが浮き彫りになるのがすごく面白かった。

 

が、ここで少年漫画というかなんというべきか、呂不韋と政の違いを際立たせるものとして、「人間を信じるかどうか」という軸が投入されるのである。呂不韋のやり方では戦争がなくならないが、呂不韋はそれでも少なくすることはできるという。それに対し、政は人間を信じているから、中華を統一すれば戦争がなくなるということを「信じることができる」のが違いだ、と提示するのだ。

この論理は無茶苦茶だろう。人間を信じるか否かは彼らが言う平和を実現する方法とは全く関係のない話である。政は人間を信じているから、経済を統一することで戦争がなくなるということを信じることができる、とも言えるんだから。政はキラキラとしたスポットライトが当てられながら、全然関係ない精神論をぶっこむのだ。

まあ何かしらの方法で政と呂不韋の違いを示さないと物語が綺麗に進まないし、政治家(ポピュリスト)の手腕としては論理的に破綻していてもパワーで押し切ると言うのは巧みなのかもしれないが、平和実現の方法論の比較がかなり面白かったので拍子抜けした。

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吉沢亮、当て書きしたのかと思うレベルで政に顔が似てる

https://www.youtube.com/watch?v=iglFGhCN-p8

2/12

今日はちょっと早く起きた。「春江水暖」という映画を観にいった。宣伝で言われていた「現代の壮大な絵巻物」というのが気になったからだ。

美しい映画だった。監督の次回作は観に行くと思うし、デビュー作で知れてよかった。ただ、他人事としてスクリーンを見つめているだけならいいのだが、ふとこの「結婚して子供を作ってこそ一人前」という価値観やそれに基づく人間関係が自分に降りかかってくることを想像したらぞっとした。中国だからとか田舎だからとかは関係なく、どこに住んでいても油断すれば絡め取られてしまう身近さがある。

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2/13

今日はジムに行ってから友達の就活を手伝った。クリスティーアギレラのBack to Basicsツアーは何度観ても傑作…。人形のように完璧な容姿から、ドスの効いた歌声がばーんと出てくるのが非現実的とすら思える。走りながらずっと観ている。

 

2/14

台北ストーリーという短編集を大学で借りて読んだ。白先勇という作家が良いなと思った。日本ではあまり知られていないのか、Wikipediaを見ると名前のカタカナが中国語読みそのままだった。フィクションを読むのは随分久しぶりな気がする。

 

2/15

今日は神保町に行くつもりだったが、雨が降っていたのでやめた。11時くらいに起きて、納豆とブルーベリーとチョコレートクッキーを朝ごはんに食べ、皮膚科でもらったビタミンCを飲んだ。一日3回飲まなきゃいけないのが面倒くさい。ニキビ跡に効くと言って処方されたのだが、本当に効いているのが疑問である。

ウォンカーウァイ映画についてのレビューを見ているとちらほら張愛玲の名前を見かける。この前大学の図書館に探しに行ったら原語版があった。中国文学の棚に、邦訳版と原語版が混在して置かれているのが大学だなあという感じがする。

昼ごはんに辛ラーメンを食べて眠くなったので犬と昼寝した。起きたら17時になっていた。今日はまだ3時間くらいしか活動していない。

 

 

続く

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小さな中国のお針子と若き仕立て屋の恋

小さな中国のお針子

文化大革命期の中国。再教育のため山奥へ送られた医者の息子マーとルオは、過酷な重労働の合い間に村のお針子である美少女に出会い恋をする。やがて彼らが読み聞かせる西洋の小説が、彼女の人生を変えていく。

(引用:https://moviewalker.jp/mv33164/

陈坤が観たくて借り、ドンピシャだった。恋愛をあまり真剣でないタッチで描き、若さや社会情勢や人間としての自立が絡んでくるという、いかにも私が好きそうな感じの映画だったw

舞台である山村の雄大な風景、村人の服装、マーとルオのいかにも若者という感じのエネルギーと傲慢さ、そして二人の無意識なコントロールを大きく裏切っていくお針子、全部良かった。刘烨かっこいい😭

小さな中国のお針子 [DVD]

小さな中国のお針子 [DVD]

  • 発売日: 2003/11/07
  • メディア: DVD
 

 「フランスの小説が中国の田舎者を変える」というテーマはいかにもオリエンタリズム丸出しで、実際この映画は監督は中国人だがフランス資本である。なので、私もマーとルオが西洋の小説を盗み出し、これをお針子に読み聞かせて「お針子を無知から救おう」と話しているところは、自分にも覚えがあるしこの年代なら言いそうなことだなと思いつつ、フランス資本の映画でこれ…おえっっっとなった。

しかし、マーとルオが持ち込んだ西洋の文化やフランス文学は、村やお針子に徐々に変化をもたらすのだが、その変化の描き方があまりオリエンタリズムらしくないなと思った。なんというかすごくリアルなのである。

マーとルオはフランス文学をフランス語で読んでおらず、中国語翻訳を読んでいる。お針子は文字が読めないので、彼らに読み聞かせてもらう。ルオはバイオリンを村に持ち込み咎められるも、毛主席に捧げられた曲と嘘をついてモーツァルトを弾き、村人に受け入られる。村長はバイオリンの音色は気にいるが、フランス文学をお針子の祖父に読み聞かせていたマーとルオを公安局に突き出そうとする。

マーやルオ、お針子、そして村人たちはみんな、西洋文化に影響を受けるが、彼らがどうやって・どういった形で西洋文化に触れ、何に影響を受け、それがどう彼らの生活を変えていくかはそれぞれ異なる。

それがすごくリアルである。マーとルオは西洋の文化によってお針子を啓蒙しようと考えるが、それも西洋文化の影響と考えると面白い。

 

また、バルザックなどの西洋文学の著者と同じくらい、翻訳者にも光が当てられているのが良かった。作品の途中で、ルオが知り合いの医者に頼みごとをする場面がある。頼みごとのお礼としてバルザックの作品をあげますと言って、服の裏に書き留めた中国語訳されたバルザックの作品を読み上げる。すると医者は翻訳者の名前を挙げ、彼の文体はすぐにわかると言う。そして医者が彼のような優れた文章を書く人間も今は反動分子として投獄されたと言うと、ルオは不意に号泣する。

 

なんとなくだが、実際に非西洋圏で育った人間でないと、このようなやり取りは書けないんじゃないかと思った。非西洋の人間が西洋文化に初めて触れるとき、ほとんどは原語では読まずに自国の言葉に訳された作品を読むはずである。それは文革時代の中国だけでなく、現代の日本でも同じだろう。なぜなら自国の言語で読んだ方が早いし、楽だし、何より手に入りやすいからだ。

そういった状況で西洋文化が人間に影響をもたらすには、元の書籍と同じくらい、「翻訳」が重要になる。

複数の文化圏の作品を理解できること自体すごいことだが、それに加えて翻訳者自身が優れた文章を生み出せる人物でないと、元の文学がいくら優れていてもその伝播力・影響力はほとんどゼロになるだろう。また、この「翻訳」は多層的でもある。マーとルオは中国語訳された作品を、文字の読めないお針子やお針子の祖父のために読み聞かせるが、中国語を話し、飽きないような話し方ができ、彼らの知らない単語をわかりやすいよう(文革という社会情勢を踏まえて)説明したりすることができないと、この役割は務まらない。

 

つまり、作品が他の文化圏の人間に影響をもたらすには、ほとんどの場合その作品の力だけでなく、その作品を理解し違う文化圏に様々なレベルで翻訳する者の力が絶対に必要で、彼らなしに文化が広がっていくことはありえない。

この映画はそこに光が当てられており、翻訳されていく過程もリアルだと思った。だから「西洋文化が中国の田舎者を変える」という筋でも、オリエンタリズムの香りがあまりしない。監督の戴思傑のWikipediaを見たら、実際に四川省下放を経験し、そのあとフランスに留学した人ということがわかって納得した。

 

周迅演じるお針子は、マーとルオの「教育」を受けた結果、自由を渇望して二人が知らないところに飛び立ってしまうさいこ〜なキャラクターなのだが、本人も最高だった。

というのも、映画を観終わった後、メルカリでパンフレットを手に入れたのだが、周迅が役者インタビューに答えていた。インタビュアーからの質問で「バルザックのことは以前から知っていましたか?」というものがあった。映画の内容を考えれば、以前から知っていようと知っていなかろうとバルザックや西洋の文学の素晴らしさや影響力に触れる流れになりそうなところだ。しかし、周迅は

あなたは、魯迅郭沫若や曹雪芹や巴金を知っていましたか?

と返すのである。爽快感ヤバ!!!てか、頭良!!!!

劇中ではそんなにオリエンタリズムぽくないとはいえ、食傷気味になるくらいバルザックバルザックと繰り返されるので、周迅のこの返しは映画全体をひっくり返す清々しさがある。

 

周迅は本当に何観ても演技力に脱帽する。陈坤との共演機会が多いのでよく目にするけど、周迅の方をどんどん好きになってしまう!如懿伝も気になるけど胸糞悪そうで観るか迷う!なんにせよ、「この人がいれば絶対大丈夫」みたいな、信頼がおける役者でい続けているのは本当にすごい。

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↑周迅と陈坤は近いところに住んでいてよくお互いの家を行き来するが、周迅は好きな時に陈坤の家に押しかけるのに陈坤が誘うと来ないって言ってるw 良…😭

 

この映画は配信されていないようなので、TSUTAYA DISCASで借りて観ました。(けど、さっきYouTubeで英語字幕つきの違法アップロードを見つけた…)

若き仕立て屋の恋、2046

DVDプレイヤーが手に入ったので、買ったまま放置していたウォンカーウァイの「若き仕立て屋の恋」と「2046」を観た。若き仕立て屋の恋は短編ということも関係するのか、ウォンカーウァイにしては珍しくしっかりしたストーリーがある。2046は筋は他の作品同様フワフワしているが、2時間越えで割と長め。 

愛の神、エロス [DVD]

愛の神、エロス [DVD]

  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: DVD
 

 

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ウォンカーウァイの映画は感想を書くのがいつも難しい。記録のためにブログに書いても、何が刺さったのかの10分の1も言い表せない感じがする。

 

部屋でゴロゴロしててふと、ウォンカーウァイが影響を受けた文学作品について、欲望の翼のパンフレットで本人が語っていたのを思い出した。そのパンフレットをなくしてしまいどっかのサイトに載っていないかなと思って検索したら、お目当の情報は見つからなかったがこの批評がヒットした。

この批評ではウォンカーウァイ映画の閉鎖的な空間性が注目されており、「部屋を内側に向けて突き抜けた先に救いがある」と指摘されている。偶然出会った批評だが、胸にすとんと落ちる感覚があった。彼の作品の何が刺さるのか、この批評を読んで、解放感と社会との関係の希薄さが刺さる要素の一部かなとクリアになった気がする。

 

多くのウォンカーウァイの作品では、恋愛がテーマでも、恋愛以外の可能性が常に提示されている。最終的にそのキャラクターが置かれている状況が無茶苦茶なことになっても、最終的に何か外につながるような解放感が見える気がするのが好きなのだ。救いであり、それは常に外につながっている。

閉塞を突き詰めた結果解放を得るというのは全然考えたことがなかったが、この批評を読んで納得したし、私が欲望の翼だけいまいち好きになれない理由の一端が見えた気がした(まあ欲望の翼のカリーナラウは衝撃的にかわいいと思っているので上映してたら観に行くけど)。2046はわかりやすくこの構造だろう。主人公は昔の恋愛に囚われ私生活がぐちゃぐちゃになっているが、自分のホテルの部屋で小説を書くことでぐちゃぐちゃな生活が少し解ける。そこに主人公を救いに来てくれる現実の他者は存在せず、彼の思考のみが彼を変化させられる。

 

また、私はほとんどの彼の映画のキャラクターたちに「社会」を感じないところがすごく好きである。職業がわからない人々も多いし、職業があってもすぐ捨てるし、すぐ香港を出るし、そしてすぐ戻ってくる。設定だけでなく描き方が人物の感情にぐっとフォーカスしていることもあるかもしれない。不倫がテーマの花様年華でさえ、世間が顔をのぞかせるのは大家さんのいくつかのセリフのみである。舞台は現実の社会だから社会との関係が完全に切れているわけではないが、すごく希薄に感じられる。(若き仕立て屋の恋は例外で、珍しく仕立て屋と娼婦という職業がストーリーに強く紐づいている)

 

この批評では、『恋する惑星』のフェイ・ウォントニーレオンも含め他人とのコミュニケーションを拒絶していることを指摘している。あんなに明るい映画なのに!でも確かに、コミュニケーションを拒絶しているからこそ、フェイは社会から切り離されている感じがするのかもしれない。恋する惑星を観たとき、最初に衝撃を受けたのはトニーのかっこよさだったが、決定的に恋に落ちたのは、フェイがトニーと待ち合わせた「California」という店の看板を観て、本当のカリフォルニアに行きたくなって約束をすっぽかして行ってしまったシーンだったことを思い出した。しかしフェイはキャビンアテンダントになってふらっと香港に帰ってきて、トニーは「君のどこでも好きなところ」に飛ぼうと提案する。そこにも私は救いを感じる。

 

最後に、この批評は以下のように述べている。

この論考では、ウォン・カーウァイ的「個室」を個人の孤独や閉塞、硬直の表現とそれ自体はひねりなく受け取りながら、その空間がどのように構成され、かつどのような変容によって開かれようとしているかを考察してきた。こうした読み方は、いささか個人的な方向に傾きすぎたていたかもしれない。ウォン・カーウァイの映画には、その明示的なストーリーがどれほど登場人物たちの私的な孤独や記憶にこだわるものだったとしても、よく見れば「香港」という社会的・政治的な場への言及に満ちているからだ。しかし、「香港」という視点からのウォン・カーウァイ読解が、しばしば「香港」の持ついくつかの定型的イメージ—アイデンティティの希薄さ・流動性、あるいはそれへの反動としての香港アイデンティティの希求、移行期的・経由地的な時空間性など—に寄りかかりがちであることも否定しがたい事実だろう。

この箇所は本当に膝を打ちまくった。今まで読んだ批評は、香港という都市が抱えるイメージや歴史的な経験をウォンカーウァイの作品に重ね合わせるものが多かったが、こういう分析は好みじゃないなと思っていた(間違っていると言っているわけではない)。私がそもそも香港イメージの正当性自体にだいぶ懐疑的というのがあるが、それ以上に、私はウォンカーウァイ映画の社会性が希薄なところが好きなのに、香港の社会的・政治的な文脈を映画の批評に持ち込まれると、社会に引き戻される感じが嫌なんだろう。

 

この批評は、私がウォンカーウァイ映画の好きなところを、私が自分では到達できないところまで深く掘り下げてくれている感じがする。私が今までしてきた勉強は皆、何かしらの形で社会と関わる分野が多かった。政治とかジェンダー論とか。私は勉強を通じて社会構造を語る語彙は獲得してきたが、社会とは関係が希薄だと思いたいものを語る語彙が無いことに気づいた。いつもウォンカーウァイの作品は何が好きなのか語るのが難しいと思ってきたが、それはまず語彙がなかったからなのか!この批評は、私が使いこなせない語彙を使って、私が魅力と感じていたことにより深く切り込んでいく。すごく爽快だった。

 

ドラマ・映画・本・舞台などの感想まとめ(随時更新)

ドラマや映画の感想がちょこちょこ溜まってきたのでここにまとめます。邦題があるものは邦題(原題)で表記しています。

 

ドラマ

鳳凰の飛翔(天盛长歌)

琅琊榜

瓔珞~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(延禧攻略)

沉默的真相

バーニング・アイス(无证之罪)

霊剣山(从前有座灵剑山)

宮廷の諍い女(甄嬛伝) 

三国志 Secret of Three Kingdoms(三国机密)

AJ&クイーン(AJ and the Queen

映画

誰かがあなたを愛してる(秋天的童話)

花様年華

恋する惑星(重慶森林)

2046

若き仕立て屋の恋(The Hand)

インファナル・アフェア(無間道)

十年

点対点(點對點)

ラブソング(甜蜜蜜)

先に愛した人(誰先愛上他的)

僕らの先にある道(后来的我们)

Mr. Long / ミスター・ロン

空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎(妖猫传

ムーラン(花木兰)

さらば復讐の狼たちよ(让子弹飞)

グリーンディスティニー(卧虎藏龙)

ふたりの人魚(苏州河) 

小さな中国のお針子(巴爾扎克与小裁縫)

マイブルーベリーナイツ(My Blueberry Nights)

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(Birds of Prey)

ハスラーズ(Hustlers)

ガールズ・トリップ(Girls' Trip)

クレイジーリッチ!(Crazy Rich Asians)

トレバー・ノア 生まれたことが犯罪! ?(Born a Crime)

ミュージカル舞台

ハミルトン(Hamilton)

ミスキャスト(Miscast)

キンキーブーツ、マンマミーア、アラジン、ブックオブモルモン、ウィキッド、レント

スタンダップコメディ

クレイジーリッチ!(Crazy Rich Asians)

Treat Nazis Like You Treat Women / Jena Friedman

ハーレイ・クイン、ハスラーズ、マイブルーベリーナイツなど

卒論を提出した&口頭試問が終わった!毎日全力をあげて書きましたかと言われれば全くそうではないのだが、とにかくこの1年間くらい、心にずっと重石のようにのしかかっていたのでやっと終わって嬉しい。

しかし提出する直前に緊急事態宣言が発令されてしまい、提出したからといって旅行したり友達と飲みに行ったり出来なくなってしまった。ということで、家で映画を観た。その中で良かった映画の感想。

マイブルーベリーナイツ(My Blueberry Nights)

マイ・ブルーベリー・ナイツ(字幕版)

マイ・ブルーベリー・ナイツ(字幕版)

  • 発売日: 2015/11/15
  • メディア: Prime Video
 

ウォンカーウァイ映画!何を観てもやっぱりウォンカーウァイの作品が一番好きだなと思うけど、この作品だけは観ていなかった。英語作品ということでなんとなく異質な気がしていたのだ。でも観てみたら全然異質じゃなかった。

恋人の心変わりで失恋したエリザベスは、元恋人の家の向かいにあるカフェに出入りするようになる。毎晩、ブルーベリーパイを用意してくれるオーナー、ジェレミーと話すことで、徐々に慰められていくエリザベス。しかし、どうしても終わった恋を引きずってしまう彼女は旅に出る決心をする。

(引用:https://movies.yahoo.co.jp/movie/327838/story/

ロードムービーのような作りで、ニューヨークと、主人公・エリザベスが滞在したメンフィスとネバダ、ラスベガスでの出来事が描かれる。最初の都市では一組の破綻したカップル、もう一つの都市では一人のギャンブラーと出会う。主人公が中心となって物語が動いていくというよりも、主人公は彼らの人生を一緒にいつつ眺めている感じ。主人公はエリザベスだしメインの筋はエリザベスとジェレミーの話なんだけど、印象としては群像劇に近いと思う。

 

この話は有り体に言えば主人公が成長する話だけど、旅をしている間主人公はまじで存在感が無いのが面白い。

主人公が出会うカップルとギャンブラーはやることがむちゃくちゃかつ華やかで、主人公は完全に脇に追いやられて呆気にとられつつも彼らと一緒にいる。その間、観客は主人公と一体化して彼らの人生を眺めたりハラハラしたりしているのだが、そのおかげか?主人公がなぜ旅を通じて、終わった恋にケリをつけられたのかすごく理解できる。あんなもん見ちゃったら元彼とかどうでもよくなるな! 

エリザベスが失恋を乗り越えられた理由が、他の恋人を見つけたからでも恋愛に絶望しきったからでもなく、「他人の人生をたくさん見たから」というのがすごく良かった。

一番恋愛に捉われない解では?エリザベスの中で恋愛の位置が上がったりも下がったりせず、ただただ、今回の失恋の重みだけが軽くなる。エリザベスの最後の台詞がめちゃくちゃ良くて再生しまくってたら暗記した。

 

キャストがこの筋にぴったりはまってて、エリザベスを演じるのはノラ・ジョーンズ!大きい丸い瞳が印象的だが、いかにもアメリカの感じのいい若者って感じで、旅先のパートではうまく存在感を消していた。でもジェレミーのカフェにいるときは魅力全開で、意思が強そうである。ウォンカーウァイが彼女ありきで製作を進めたのがよくわかる。しかもBGMで彼女が歌っている曲がちょくちょく流れるのもいい。ノラ・ジョーンズの歌声がカフェに合わないわけないし。 

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そしてジェレミーを演じたジュード・ロウの安心感たるや!いつ誰が見ても「かっっっこいい〜…」って言うんじゃない?私は何回も言った。なんかダンディなイギリス紳士のイメージだったけど、カフェオーナーの青年という役もできるんですね。彼のエリザベスを見つめる視線が、恋する惑星で最後、フェイを見つめる警官663の表情にかぶった。

ちなみにエリザベスが旅中に出会う人々は、ナタリー・ポートマンレイチェル・ワイズデヴィッド・ストラザーンが演じている。名優が勢揃い!演技がすごいのはもちろんだが、滲み出る華やかさが映画に合っていた。

 

アマプラでもU-NEXTでも観れます!

ラブソング(甜蜜蜜)

夢を抱いて中国大陸から香港に渡って来たばかりの青年シウクワンは、同じ大陸出身者のレイキウと、返還直前の活気あふれる香港の街角で出会う。大陸出身ということを隠し、器用にたくましく社会にとけ込んで働くレイキウと、純朴で優しいシウクワン。一見対照的な二人の出会い、別れ、そして再会するまでを、激動の香港を舞台にテレサ・テンの名曲に乗せて贈る、切なくも温かい10年に及ぶ恋物語

(引用:Amazon

舞台が大きく分けて3つあって、二人が香港で出会う1986年、一旦別れるも香港で再会する1990年、そしてまたも離れ離れになるがニューヨークで再会する1995年。

まずこの最初の1986年の街の描写が良すぎて、一気に引き込まれた。二人は若くまだ香港で生計を立てていこうとしているところなので、高層ビル等よりも、シウクワンのバイト先の肉屋とか屋台みたいな、下町っていうのかな?香港の普通の街角が映されていて、たまらん!!

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↑この動画は解説動画で最後まで見たらネタバレになるが、映像が写っているので

 

それに二人が、香港に馴染めず落ち込んだりしつつも、いつか一山当ててやるという希望を持って生きている姿は、二人のことが好きにならざるを得ない。シウクワンはいかにも鈍臭いけど、すごく優しい。レイキウに結構ひどいことを色々と言われているのに、にこにこして彼女に着いてってるのがかわいい(し、可哀想)。レイキウもレイキウで、しっかりして頭が良く度胸もあるが、どう考えてもその商売に資本を突っ込むのはやばいだろということを自信満々にすることがあり、勢いが心配になる。

この最初の1986年のところでもう二人のことが好きになってしまうので、そのあとの離れたりくっついたりも最後まで見届けてやるぜ!という気持ちになる。

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引用:https://www.imdb.com/title/tt0117905/mediaviewer/rm3430409216/

どうでもいいけど私はマギー・チャンの目の形がすごく好きだ。つり目だけど中央は縦に膨らんでて、独特の魅力がありませんか?彼女が美しさを放っている映画はやっぱり花様年華がレベチだと思うけど、この映画もすごくかわいい。

あとレオン・ライが、天使の涙ではあんなに全てがダルそうな殺し屋を演じていたのに、この映画では真逆の目をキラキラさせた純朴男でしかもそれが自然で驚いた。役者すげ〜

 

これはU-NEXTで観れます!

グリーンデスティニー(卧虎藏龙)

剣の英雄たちが群雄割拠する時代。天下の名剣“グリーン・デスティニー”の使い手としてその名を轟かせる英雄リ-と女弟子ユーは、心惹かれ合いながらも長い間人々のため正義に生きてきた。リーは剣を置く決意をしてグリーン・デスティニーをユーに託し、依頼されたティエ氏に無事剣を届けたユーは、そこで貴族の娘イェンと出会う。その夜、グリーン・デスティニーが何者かに盗まれ、ユーはイェンを疑い彼女の家を訪ねる。

 (引用:https://eiga.com/movie/1411/

Netflixで観た。最初の方は主に北京が舞台で、名剣の盗難騒ぎをめぐって物語が進む。ここら辺は武侠映画、それも精神性を重んじるような真面目なやつっぽくて、私は武道の心得を語られるとしらけてしまうので、ぶっちゃけ数回挫折した。

グリーン・デスティニー (字幕版)

グリーン・デスティニー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

が、はじめ1/3を過ぎたあたりで時代が飛んで、名剣を盗んだと疑われている貴族の娘・イェンの昔話になると、舞台が突然砂漠に移り、ガラッと雰囲気が変わる。イェンは昔、家族で西域へ移動する途中、砂漠で盗賊の一味に襲われた。盗賊たちは財宝が目当てでありイェンに害は及ぼさなかったが、盗賊の長・ローがイェンの櫛を奪ってしまう。するとイェンは馬に飛び乗り、櫛を取り返すためローを追いかける。

そこからしばらくイェンとローは追いかけっこ状態が続くのだが、この砂漠を駆け回るイェンの自由で楽しそうなこと!

櫛が本当に大事というより、暴れまわる口実に櫛を使っているようにも見える。イェンは櫛を取り返すためにローを説得したり、何かを代わりに差し出したりしない。ただただローを殴り追いかけ取っ組み合いをする。屋敷の中で鬱屈としているイェンを冒頭で観ているからこそ、全力で暴れまわるイェンはすごく魅力的だ。最終的にローとイェンは恋人関係になる。

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回想部分が終わってもイェンは暴れ続ける。色々あってイェンは江湖に行くのだが、江湖でも挑んでくる相手をしきたりガン無視で吹っ飛ばす。

映画の冒頭でイェンは結婚なんてしたくない、女剣士にこそ憧れると言っているが、その思想が爆発している感じだ。何か目的を持って戦うというよりも、ただただ楽しそうに江湖で剣を振っているように見える。

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多分この映画は英雄リ-と弟子ユーの関係とか戦う者の使命みたいなのもテーマだろうけど、私はとにかくイェンに目が釘付けになり、彼女に圧倒されていたら2時間が終わった。わけのわからない絶大なエネルギーが好きなんだと思う。

こちらのツイートを見て私もオーダーしたい!となった時に、真っ先に思い浮かんだのもイェンだった。

 そして届いた香水がこれ。

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https://www.celes-perfume.com/product/goutal%E2%80%90ninfeo-mio/

ぴったり過ぎて拍手しちゃった。つけた瞬間は緑の香りが強く、時間が経つとイチジクのような香りがふわっと広がる。まさに草原を駆け回るイェン!!!他にもいくつかの映画をオーダーしたが、この香水が一番しっくりきた。

ふたりの人魚(苏州河)

上海でビデオの出張撮影の仕事をしている男。仕事は順調とはいえず暇をもてあまし気味。ある日、撮影先で人魚のように美しい水中ダンサーのメイメイにひと目ぼれする。ふたりはつきあい始めるが、彼女には謎めいた行動が多かった。しかもある日、彼女のことを自分の恋人のムーダンだと言い張る男まで現われて……。

(引用:https://www.uplink.co.jp/film/2001/52533

原題は蘇州河、蘇州から上海を流れる川のことを指す。この川を下る小舟からの映像が時々登場するが、映画全体を通してもなんだか川に揺られて流されていく感覚がある。

 

正直ストーリーやキャラクターはそんなに刺さらなかった。マイブルーベリーナイツとは対照的に、この映画はひたすら恋愛を掘り下げていく。私は恋愛はそんなに大事じゃないので合わなかった。(映画の出来ではなく好みの問題)恋愛が好きな人は好きだと思う。

 

ただ、映像に浮遊感があり、退廃的なネオンカラーが印象的で、かつ物語の中心人物ではなく素性がよくわからない人物が語り手となり話が進んでいくところがすごくよかった。語り手には一応ビデオ撮影を職業にする男、という設定が付与されているが、実際は語り手=蘇州河なんだろうなという感じがする。

あと、メイメイとムーダンの二役を演じる周迅の演技に凄みがある。なんとなく、ムーダンは周迅が昔演じていた役(「女帝」の夜宴とか)、水中ダンサーのメイメイは今周迅が演じることが多い役(「画皮II」とか「你好,之華」の之華とか)に似てて、それを一つの映画でどっちもやってるのがすごい…と思ったけど、今調べたらこの映画は「女帝」よりも全然前の映画だった😂 この時周迅24歳だったのか〜すでに大女優…

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U-NEXTで観ました!

Mr. Long / ミスター・ロン

ナイフの達人・殺し屋ロン。東京、六本木にいる台湾マフィアを殺す仕事を請け負うが失敗。北関東のとある田舎町へと逃れる。日本語がまったくわからない中、少年ジュンやその母で台湾人のリリーと出会い、世話好きの住民の人情に触れるうちに、牛肉麺(ニュウロウミェン)の屋台で腕を振ることになる。屋台は思いがけず行列店となるが、やがてそこにヤクザの手が迫る……。

(引用:https://mr-long.jp/

ロンが北関東に行き着くまではヤクザ映画と同じ感じで、説明セリフはなく静かな雰囲気のまま殺しが行われる。

で、北関東の田舎町に逃れてロンはジュンや住人に出会うのだが、人情に触れる系のシーンになっても、ロンが殺しをやっているシーンと同じ雰囲気のまま続くのがめっちゃ面白い。

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ロンが流れ着いた町は最初結構得体の知れない感じで描かれていて、ジュンも素性がわからない(が妙に親切な)子供なのだが、その雰囲気のまま、突如お節介な住民たちが登場する。

あらすじや予告編では孤独な男が田舎の人情に出会う!という感じだが、実際観てみると人情物語という感じはあまりせず結構乾いた印象である。住民が自分たちのペースでお節介をやき、ロンは言葉がわからないので「???」という顔で流されていくのがシュールで笑える。ていうか私は何回か声だして笑った。

ロンと住民の間で会話はほぼ成り立ってないし、ロンとジュン・リリーも会話が多いわけではないのだが、住民がロンを気にいる理由とか、彼らが徐々にお互いを大事に思っていくのはなんとなくわかる。展開が自然で、妙に笑えるので私はすごく好きでした。

 

ただ回想シーンなどのリリーの悲劇性を強調するシーンだけ、どこか他の映画から悲劇の女のシーンを抜き出して取り付けたみたいで残念だった。なんかどっかで観たことあるシーンの寄せ集め感がすごくて、お?これは映画の悲劇性を演出するために女の不幸を使うやつか?と思ったし今も思っている。他のシーンが好きだっただけに残念だった。

 

これもU-NEXTで観ました!

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(Birds of Prey)

これは劇場で観た方も多いでしょう!ハーレイ・クインの華麗なる覚醒。U-NEXT・Amazon Primeだと課金がいるけどNetflixだといらないです。

悪のカリスマ=ジョーカーと別れ、すべての束縛から解放されて覚醒したハーレイ・クイン。モラルのない天真爛漫な暴れっぷりで街中の悪党たちの恨みを買う彼女は、謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって、残忍でサイコな敵ブラックマスクと対立。その容赦のない戦いに向け、ハーレイはクセ者だらけの新たな最凶チームを結成する。

(引用:https://eiga.com/movie/90686/

アドレナリンがどばどば出る映画だった。サイコー!!!

まず、ハーレイは映画の冒頭でジョーカーとのロマンスが始まった工場の付近を落ち込みながらフラフラ歩いているのだが、トラクターを見つけると「I have the best idea!」と叫び、トラクターを奪って工場に突っ込ませ、爆破する。爆破と言えど、ピンクや青や緑のカラフルな炎がどーんと打ち上がり、祝福の花火みたいだ。

ハーレイがやってることは無茶苦茶だし、トラクターを盗まれた運転手からしたらbest ideaじゃねえよという感じだが、爆破がすごく綺麗で同情を忘れてぶち上がってしまう。そして粉末を背景に浮き上がる「BIRDS OF PREY AND THE FANTABULOUS EMANCIPATION OF ONE HARLEY QUINN」のタイトル!

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工場を爆破したことでジョーカーと別れたことが公になり、今までのハーレイの悪行をジョーカーへの恐怖を元に見逃していた人々に、ハーレイは追われることになる。逃亡したりなんやかんやにうちに、ハーレイの他にも色々な背景を持った女性が4人集まり、みんなで協力して敵やラスボス・ブラックマスクに挑むというさいこ〜な映画だ。

 

ブラックマスクを演じたユアン・マクレガーがこのインタビューで語っている通り、この映画のセリフには女性が日常的に体験する女性差別が詰まっている。

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一番ぐさっときたのは、ハーレイが最後仲間に「Sorry, I underestimated you.(ごめん、あなたを過小評価してた)」と言われて、「It's okay, I'm used to it.(大丈夫、慣れてるから)」と返すところだ。男性キャラクターが言う女性差別的なセリフにもハーレイは真っ向から反論はしないのだが、それがすごくリアルで心臓にくる。

しかし、ハーレイが現実と違うところは、とにかく強い&暴力を振るうことにためらいがないところである。男性キャラクターがハーレイに自分の保護が必要だとかジョーカーなしでは何者でもないとかクソゴミ発言をかました次の瞬間、彼らはハーレイの金属バッドやハンマーによって派手に葬られる。

男性キャラクターがハーレイや他の女性キャラクターに投げかける言葉が、日常的に女性がかけられる台詞だからこそ、彼女たちが彼らを圧倒的優勢でぶん殴る姿の爽快感が半端ない。

 

また、ブラックマスクがラスボスと思いきや一人になると激弱なのがウケた。ブラックマスクの強さは富と群がる子分たちで構成されていたのであり、本人にハーレイに対抗する力がある訳ではなかったのだ。ヒーロー映画と思えばブラックマスクがあっさりと引き腰になるのは味気ないが、「ブラックマスク=女性差別的な権力者」と思えばどうか?

 

タイトルにある「emancipation」とは、普通「解放」と訳されることが多いと思うが、「覚醒」と訳したのもすごくいいなと思った。解放というと縛っていた存在(=ジョーカー、男女差別)の影をいやでも感じざるを得ないが、覚醒というとそういった影に付きまとわれることなく、本来の自分が開花したという感じがする。ブラックマスクはハーレイは自分の保護が必要だと言うが、ハーレイが自身の力を発揮するためには、お前は要らないのだ。

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ハスラーズ(Hustlers)

これもU-NEXTとアマプラだと課金がいるが、Netflixなら無しで観れる。

ハーレイ・クインと同じく、痛快な女性たちの物語として宣伝されていた映画だと思う。ハーレイ・クインはその通りだが、ハスラーズは私は痛みの方を感じて数日間思い出しては気分が落ち込んだ。実話を元にしているだけある。

リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立てたという実話を、ジェニファー・ロペスと「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウーのダブル主演で映画化。

年老いた祖母を養うためストリップクラブで働き始めたデスティニーは、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナと出会う。ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。

(引用:https://eiga.com/movie/91824/

主役を張ったコンスタンス・ウージェニファー・ロペスも、めちゃくちゃ演技が上手い。ジェニファー・ロペスは華やかさと包容力が圧倒的で、まさにストリッパーみんなに慕われ、憧れられる存在・ラモーナである。物語の語り手であるデスティニーは、登場人物の中で一番感情やラモーナとの関係のぶれを細かく映されていると思うが、コンスタンス・ウーの演技はすごく自然で説得力がある。Crazy Rich Asiansの時よりよっぽど当たり役だと思う。

また、冒頭にCardi BやLizzoなど、今をきらめく𝒬𝓊ℯℯ𝓃𝓈が登場して、デスティニーやラモーナと共に金を稼ぎまくるのは確かに爽快だ。

 

しかし、詐欺を計画する段になると、100%爽快感!痛快!とは思えなかった。

理由の一つに、騙された金融マンたちが、ものすごく悪い奴としては描かれていないことがある。

ストリッパーたちを屈辱的に扱う男たちは登場するが、彼女たちが金を騙し取る相手は、彼女たちを踏みつける描写が明確にはない金融マンも含まれている。ウォール街で働いた後にバーで飲んでいたら彼女たちに声をかけられて、舞い上がって話している間にドリンクにドラッグを入れられるみたいな…。景気が良かった頃の昔の顧客もターゲットにされるが、映画の中で「景気が良かった頃」は、デスティニーやラモーナにとってうまくやれば客から大金を取れる良い時代として描かれており、彼らが彼女たちを搾取した様子はわかりやすくは描かれていない。

彼女たちがこのやり方を取ったのはすごくリアルだろう。彼女たちは悪を成敗するスーパーヒーローではなく、経済危機でまともな職がなく、ストリップクラブに戻ったとしても稼げないどころか性被害にまで遭う労働者なのだ。誰にも頼らず生活するために詐欺を働いているのであって、今まで自分たちを踏みつけた人々を精査して成敗するためではない。

 

しかし、ターゲットを見極めなかったことが一因となって、結局彼女たちの計画は止められる。

もう1つの痛快と思えなかった理由は、最終的に状況があまり改善されているようには思えないことだ。この映画はハッピーエンドではない。この計画が露呈したところで労働者の権利を保証する仕組みができた訳でもなく、ウォール街のエリートたちは変わらず裕福な暮らしをし、ストリップクラブでは適正価格を払わずにストリッパーを搾取しようとするんだろう。

気分が落ち込んだのは、法律も含めて、この社会のルールはラモーナやデスティニーのような人間にとって圧倒的に不利にできているということを再度突きつけられたからだと思う。そして、私はそのルールの上でだいぶ得をしている。デスティニーを取材する女性記者が登場するが、私はすごくこの人に似ているなと思った。

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