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面白かった中華ドラマ感想まとめ

鳳凰の飛翔(天盛长歌)

これ私の中で永遠に1位な気がする…感想はこちらで書きました↓

musicallyrics.hatenablog.com

琅琊榜

麒麟の才子を得た者が天下を得る”という情報を聞きつけた皇太子と第五皇子は、麒麟の才子=江左盟(こうさめい)の宗主・梅長蘇の獲得に乗り出す。しかし彼の正体は、12年前に後継者争いが原因で壊滅させられた、赤焔軍の生き残りの林殊だった!! そんな梅長蘇=林殊は、いいなずけだった穆霓凰と再会。猛毒により、以前とは違う容貌の彼に、林殊の面影を感じた霓凰は…。

(引用:https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA0000QEXH9

おすすめ中国ドラマ一覧みたいなやつで絶対出てくる琅琊榜。友達に勧められてU-NEXTで完走した結果、人気の理由にものすごく納得しました。全54話。

 

色々魅力はあるんだけど、一番印象に残るのはストーリーの無駄のなさ!

話数が多い中国ドラマは「途中でダレる」があるあるらしく、確かに鳳凰の飛翔も最後の方このエピソードなんのために入れたんみたいなものがあったが、琅琊榜は全54話、一切ダレません。54話ずっと面白い。すごい。

私は頭を使うような権謀術数の話がだ〜〜〜〜い好きなので、「皇帝になる可能性ほぼ0の皇子を、主人公が権謀術数を用いて皇帝まで押し上げる!」でどんな策略を用いるのかっていうのだけでワクワクできるし、全キャラクターの人格の書き込みがしっかりしているので、彼らの行動の背景が納得できるのも良かったです。

策略っていうのは大体この人物がこう行動しなかったらそもそも成立しないよねみたいな部分によって構成されると思うけど、琅琊榜ではなぜその人物がその行動に至るのかの説明が、毎回直接的であり間接的でありきちんとなされてるんですよね。

「いや、ご都合主義〜」みたいに思うことが一回もないのが地味にスゴイ。完成度が高い。

 

あと最後まで観て思ったけど、完全にブロマンスドラマでした。

一応霓凰郡主というカッコイイ女性が主人公の恋相手だけど、最初こそ彼女が物語の中心になるものの途中から僻地に飛ばされ、影が薄くなります。

入れ替わりに靖王と主人公の過去から現在まで続く絆がフォーカスされ、ここらへんはもう完全にブロマンスでした。霓凰郡主は最後にまた存在感を発揮するし、最後までお互いを大事に思っているのは伝わってくるけど、それでも靖王と主人公の関係の方がアツさがすごい。

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http://tv.cntv.cn/video/VSET10/286226830a2d405981c6adcb3f074a54

これ日本のドラマだったら友達が死ぬほどツイートしてそうだなと思っていたら、

Q:琅琊榜ってどんな話?
A:ヒロイン要素しかない男二人の奥ゆかしい百合物語。決して薔薇ではない。

 (引用:https://kokontouzai.org/nirvana-in-fire/#toc14 

同じこと思ってる人いた🤣 同じブログから、

また、「なんでヒロインが途中から消えるのか」というインタビューで胡歌は品を作りながら言ってるもの。「僕がヒロインだから」って。 

ってあって、マジで言ったん?!って思ってインタビュー探したら本当に言ってました。

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https://www.youtube.com/watch?v=NWbOHfLzD_o

キャワイイ。 胡歌はなんか地味にボディブローみたいに効いてくる美しさがある…。*1

 

本当に本当に面白かった!!ちょっと切ない部分もあるけど、悲劇ではないのでトラウマにもならないと思います!(大事)

瓔珞~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(延禧攻略)

女官として後宮に入り繍坊で働き始めた魏瓔珞は、持ち前の正義感と頭脳で数々の試練を乗り越えていく一方、ある目的のために密かに行動する。それは後宮で謎の死を遂げた姉の死の真相を突き止めることであった…。

彼女は富察皇后の弟・傅恒を犯人と疑い近づくが、意に反して彼に惹かれていく。同時に、思いがけず乾隆帝からも好意を寄せられ、愛憎渦巻く宮廷で波乱の人生を歩むことに…。

妃や女官たちの陰謀に晒されながらも、常にそれを上回る知略で相手を追い詰めていく瓔珞の大逆転劇に胸がすく!

(引用:https://kandera.jp/sp/eiraku/

これもほんとにほんとに面白かった!!!!!

 

後宮モノは他にもいくつか観たけど、なんかだいたい、主人公は最初は優しく皇帝への愛が深く、他の妃たちのいじめにも耐えることが多かったのですよ。美しく慎み深く、ジェンダー規範の申し子みたいな。天真爛漫で意表をつく行動しちゃう系主人公でも、それは男が可愛いと思う範囲であり、皇帝の脅威にはならないから愛される。日本の時代劇はほぼ観たことないからわかんないけど、皇帝を将軍とかに置き換えたら似たようなもんなのかな?

まあ時代劇なので当時はそういう価値観だろうけど、その価値観を批判なしに受け入れてキャラクター造形がなされてると、結局全員一緒やんみたいになって入り込めなかったんですね私は。

 

が!!!このドラマの主人公・璎珞は違った。最初からメチャクチャやり返します。

急須で自分の布団に水をかけられたらバケツで水を汲んできて布団と相手にぶっかける、頬を叩かれたらその場で叩き返す。

第2話で璎珞が言い放つ「私は生来気性が荒く、怒らせると怖いの」という台詞が彼女の気質を端的に表している。ドラマ内で璎珞を踏みにじったら皇帝だろうと徹底的にやり返すんだろうなという気概がある。

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こんな予告編見たことないんよ。


さらに、このドラマの面白いのが、璎珞がこのような気質になった理由が特に描かれていないところなんですよね。

前述の通り、私が観た他の宮廷劇だと、女の主人公は割とはじめ慎しみ深くやられてもすぐにはやり返さないことが多かったんですね。最終的に皇帝の脅威になるにしても、「周囲からの攻撃が続いたことによって」その気質がだんだん変化する様子が描かれます。最初から性格がやばい悪役でさえも、死ぬ直前に「孤独だった」「愛に飢えていた」とか、彼女たちがそのような気質になった不幸な理由が必ずと言っていいほど描かれていました。

これが琅琊榜のような、男性同士の権力争いの話になると、陥れられてやり返そうと、「彼をやられたらやり返す性格にした不幸な背景」は描かれないと思うんだよな。男が戦いやり返すのは当たり前なので。

私は女だけど、殴られたら殴り返す。それは自分の尊厳を守るために必要なことであって、別に「不幸な背景」もクソもねえけど、といつも思っていました。

だから璎珞を見て、キターーー!!!!!!!って思った。

 

また、璎珞は皇后に引き立てられ、お気に入りの女官として重用されます。皇帝が激おこの時も皇后は璎珞をかばうのだが、皇帝になぜそこまでかばうのかと聞かれこう答えます。

璎珞は私の希望です。

何事も夫を一番と考え、夫を敬う。夫の考えを自分の考えとする。それが世の女子の徳なら、国の母である私が守るのは当然のこと。

でも陛下、私は、私自身ではなくなりました。嫁いだあの日から、富察容音は消えたのです。私は女子の徳に縛られております。

陛下、私は、自分を捨てたことで、今の私になりました。だから璎珞を守るのは、無くした私を守るのと同じ。

皇后は完璧な人物として描かれていて、誰のことも陥れず、皇帝を愛し、妃嬪を守り、人々に慕われ愛されています。

しかしそのような完璧な人物が、女の徳を完璧に実行した故に、女の徳に押しつぶされてしまう。

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メッッチャ美しい皇后

一方、女の徳ガン無視の璎珞の行動で特にすごいのが、皇帝が璎珞に対して後宮の女性は視野が狭い…と嘆くシーンでの璎珞の返答。

女子は生まれた時より家という籠の中で育ちます。嫁いだとしても別の籠に移っただけのこと。籠の中しか知らぬ高麗鶯が、鷹のように広い視野を持てましょうか。お忘れなく。その籠を作ったのは男です。 

これはマジで完全に社会批判であり、その社会を作り上げておきながら責任を女性に負わせる皇帝への批判ですよね。案の定皇帝には放肆!と怒鳴られるわけですが。

 

そんな璎珞を皇后は妬むのではなく、自身の希望として愛し守り抜くのも、物語のメッセージが徹底していて好きです。

 

このドラマは新しい、スカッとする、現代的、と評されることが多いけれども、時代劇にありがちなミソジニーを見つめ直したキャラクター造形が、そのような評価を支えているように思います。

范冰冰主演の「武則天」が、唯一の女性の皇帝とうたってるから、さぞかし野心に燃えてて面白い女性を描くだろうと思ったけど真逆でがっかりした後にこのドラマを観たので、スカッとして楽しかったなあ。*2

ただ一方で、このドラマで展開されるジェンダー批判を現代にも通じるものとして解釈するか否かは見ている側に完全に委ねられているので、「昔はやばかったけど今は良い時代」で終わらせられる危険性はある。

中国のジェンダーの専門家による批評が読みたい!と思うドラマでした。

 

1話が無料かつ日本語字幕でYouTubeでみれる!

www.youtube.com

沉默的真相

全12話の刑事ドラマ。

ちょっと前まで爱奇艺がYouTubeアカウントで全話配信してました。今はYouTubeに2話までしかないけど、爱奇艺の海外向けサイトor海外向けアプリに飛べば中国語+英語字幕付きで全部見られます。2020年11月時点だと全話無料だと思うけど、時間経つと有料になるかも。

www.youtube.com

一見単純な自殺事件には、巨大な秘密が隠されていた。この秘密を暴くために、ある人々は7年を費やし、数え切れないほどの代償を払い、さらには自分の命を危険にさらした ...... かつて有望な検察官であった江阳は、賄賂と汚職を受けて刑務所で3年間服役した後、スーツケースの中でうずくまっている死体として、世間の目に再浮上する。 彼の遺体を運んできたのは、地元で有名な弁護士の张超だった。 事件は人々の注目を集め、刑事の严良が事件を担当することになる。 张超は犯行を一度自白するが、判決を受ける場で突然自白を撤回、アリバイを明らかにして事件は膠着状態に陥る。

(引用:https://movie.douban.com/subject/33447642/

ものすごく完成度の高いドラマだなと思いました。 3つの時系列で話が進んでいくんですが、見せ方がうまいので混乱しない。私が観た他の刑事物(日本でもアメリカでも)だと、現在の捜査に尺が割かれることが多かった気がするけど、このドラマは過去の語りに多く尺を割いているので、事件に関わる人々の行動の動機が納得がいくし、感情移入するからつらい。

事件自体もひどいのだが、その事件が起きた後、周りの人間がどのようにその事件にどう折り合いをつけるのか、折り合いがつけられない時どう変わるのか、を描いている。ぶっちゃけアイディア自体はこれだけ聞くと映画でもドラマでもよくある気はするが、脚本の緻密さと演技の上手さで完成度高く成立している。

あと、登場人物が食べてるご飯が美味しそうすぎる。火鍋を囲む絵がちょくちょく出てくるんだけど、鍋の中めっちゃ見ちゃう。

ミステリーとか刑事ドラマ好きな人絶対好きです。隐秘的角落(原作者が同じで、同じく大ヒットしたミステリードラマ。私は今観てるところ)がWOWWOWで配信決定したそうなので、これも日本でもすぐ配信される気がするな!

バーニング・アイス(无证之罪)

息も凍りそうな冬のある日。中国東北地方の架空の大都市・哈松で、地元の運送会社社長、孫紅運の死体が見つかる。遺体は雪だるまにくくりつけられており、そこには警察をあざ笑うかのように「私を捕まえてください」という貼り紙があった。警察はその手口から、3年前から市内で起きている未解決の“雪だるま連続殺人事件”と断定。刑事・林奇をリーダーとする捜査チームを立ち上げ、あるミスから交番勤務となっていた刑事の厳良もそこに合流する。一方、法律事務所で働く青年・郭羽は、初恋の人・朱慧茹が孫紅運の愛人であり、事件の重要参考人であると知る。郭羽は朱慧如の助けになろうと奔走するが、二人は思わぬ事件を引き起こしてしまう。その時、パニックに陥る彼らの前に謎めいた男・駱聞が現れ、事件の隠ぺいを提案してくる。果たして彼の正体は…?

(引用:https://www.welovek.jp/burningice/) 

U-NEXTで観ました。全12話!

このドラマと、沉默的真相、隐秘的角落は原作者が同じらしくて、ドラマ版も構成が結構似ている。最初にもう犯人とかはわかっていて、その事実を知った人々がどう動くか、みたいなのに焦点が当てられています。

このドラマも、半分くらいで黒幕まで全部明らかになるし、主人公・严良の推理は最初から全部当たってるんだけど、彼らを逮捕するための証拠がない。それでも事件に関連する人物を追っていくうちにまた新しい展開があって…という流れ。沉默的真相、隐秘的角落と比べて警察目線のシーンが多いので、ミステリー・サスペンス要素は強いかな。

 

私は3つの中ではこの无证之罪が一番好きですね。社会問題を描くという点では沉默的真相の方が尺を割いていると思うけど、私は単純に、秦昊演じる严良が好きすぎました。

ぶっちゃけキャラ設定としては、自由奔放で周りを困らせるけど実は人情に厚い刑事っていうまあ使い古されてきた感じなんだけど、この設定に秦昊の外見と演技がすご〜〜〜いハマってた。私が秦昊の顔が好きなだけかもしれないけど・・・(え・・・秦昊かっこよすぎん・・・?と思って、彼が出ててしかも陈坤が主演の映画「火锅英雄」を観たんだけど、こっちはクソつまんなかったw)

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https://www.youtube.com/watch?v=2-Znpv-dReE

あと、これは沉默的真相の時も思ったけど、チームのボスが女性なのだが、変に「有能・デキる女上司」的なステレオタイプを押し付けられてないのがよかったな。同じ原作者・製作チームで作った、女性が主人公のドラマを観たいなと思いました。

あとやっぱ飯がうまそうすぎる。朱慧茹の兄が料理屋を開いているんだけど、そこでのシーンはいちいちそこで出てる料理とか壁にかけられたメニューに目がいって集中できんかった。旅行してえ〜

霊剣山(从前有座灵剑山)

9つの国々が深刻な危機に陥った幻想の世界。青年はある組織に加入し、短気で口の悪い師匠のもとで修行を始める。無限の可能性を秘めた彼の物語が、幕を開ける。

(引用:https://www.netflix.com/title/81208888

全37話。Netflixで観ました。

 

他のドラマと一味違う感じで面白かった!

ジャンプ漫画にありそうな、漫画をそのまんま現実世界に持ってきたような。と思ってたら、元はウェブ小説で先にアニメ化されて、その後このドラマが来たらしい。

 

主人公の王陆がもう本当〜〜〜に「主人公!!」っていう顔なんよね!!

延禧攻略でみんな大好きイケメン富察傅恒を演じた许凯だった。全然キャラ違うけど。

二次元から三次元に飛び込んできたみたいな、丸くて大きい瞳、シュッと整った眉毛、ニヤッと片方だけ上がる口元。トレースしたらそのまんまアニメに使えそう。

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https://www.youtube.com/watch?v=2Oy6c03Odjk

師匠の王舞はどこからどう見ても美女だけど、すぐ金儲けに走ったりズルをしたり人を小馬鹿にしたりする設定で美しい顔を歪めまくる演技が楽しい。

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https://www.youtube.com/watch?v=2Oy6c03Odjk

あと、琉璃仙役の郭晓婷が超〜〜〜〜〜かわいい!!!若曦にも出てたけど、こっちのドラマの方が髪型と衣装が似合っててびっくりするかわいさ。

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https://www.youtube.com/watch?v=2Oy6c03Odjk&t=2411s

話の進め方が適当なとこも多々あったけど(特に最後)、登場人物とビジュアルが好きだと多少のプロットの穴はどうでもよくなりますね。セリフとかギャグとか衣装、CG、セットが細部まで綺麗だし、武侠ものや仙人ものを詰め込んだ中国文化全開仕立てが新鮮でよかったです。

宮廷の諍い女(甄嬛伝)

清朝宮廷ドラマの最高傑作。18世紀の清を舞台に、閉ざされた後宮の中で過酷な仕打ちに立ち向かい、愛を失いながらも権力を手に入れていく1人の女性・甄嬛(しんけい)の姿を描く。

(引用:https://www.ch-ginga.jp/feature/isakaime/ 

全76話。U-NEXTにあります。

中国ドラマにハマり始めた時からいろんなブログでお勧めされているのを見て、結構楽しみにしてたんですが。10話くらいで挫折…。野心に燃える人間が最初あんま出てこなくて、登場人物がいまいち好きになれなかったんですよね。人が好きじゃないと78話観るのはきつい…

 

ということで途中で挫折したんですが、なんとNetflixにダイジェスト版がありました!!!

90分×6話で、物語の本当に大事なところだけかき集めた感じ。登場人物は頭に入っててどうなるかは知りたいけど80話観る元気はない私にはぴったりでした。このダイジェスト版、2020年8月31日に公開終了しちゃったんだけど、存在に気づいたのがちょうどその日の夜で、そこから全速力で6時間くらいぶっ続けて観て、最後の方は間に合わなかったのでU-NEXTで観直した🤣(勉強しろ)

 

前評判通りえぐかった!!!

妃たちだけでなく皇帝もダントツでえぐい。後宮ドラマは毒殺するとか残虐な刑を与えるとかはあるあるだけど、このドラマは出てくる罠とか黒幕とか殺し方に残酷なオリジナリティを発揮してくる。心臓がヒュッてなる、もはや夏の暑い日に観たいホラー。

 

個人的に、主人公が皇帝を愛してる間はそんな面白くなかったんだけど、皇帝に絶望し、もう一人の男とも引き裂かれて完全に後宮に対する反撃に転ずるところからが、ゾクゾクするほど面白かった。淡々と自分や愛する人たちを陥れた人々を始末していきます。化粧も変わるし目がもう違うよね。

目が変わってからのエピソードは、面白すぎたので本編でじっくり観ました。

中国に興味を持つ前から「宮廷の諍い女」というタイトルだけは聞いたことがあったんだけど、人気ドラマにはそれなりの理由があるんだなあと今更納得しました。

 

妖猫伝(空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎)

これは全然ドラマじゃなくて映画なんですが、私は結構好きだった割に評価されてないので擁護しておきたい。

1200年以上前、日本から遣唐使として中国・唐へ渡った若き天才僧侶・空海。 あるきっかけで知り合った白楽天という詩人との交流を深めていく中、世界最大の都・長安は、権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、王朝を震撼させる怪事件に見舞われる。空海は、白楽天とともに一連の事件を探るうちに、約50年前に同じく唐に渡ったもう一人の日本人・阿倍仲麻呂の存在を知る。 仲麻呂が仕えた玄宗皇帝の時代、そこには国中を狂わせた絶世の美女、楊貴妃がいた。極楽の宴、妖猫の呪い、楊貴妃の真実、歴史を揺るがす巨大な「謎」――。 楊貴妃の命を案じた阿倍仲麻呂は何を知っていたのか…? 海を渡った若き天才僧侶・空海と、中国が生んだ稀代の詩人・白楽天。二人はやがて、歴史に隠された哀しき運命と対峙することとなる…。

(引用:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07GNV1N3G/ref=atv_dp_share_cu_r

日本で低評価の理由の8割くらいが邦題に起因してて、「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」って言うと空海がメインの話かと思うけど、これは原題の「妖猫伝」が正しい。猫。猫が鍵なんですわ。空海は探偵みたいな役割で、彼の人間性はほとんど掘り下げられていないので、そこに期待してはならぬ。あと、日本人作家?の夢枕獏の小説をベースにしてると言いつつ全然原作に沿ってないらしいし、時代考証はあってないようなものなのでそこにも期待してはいけない。

 

この映画は「楊貴妃の死の謎を解く」映画だと思って観るといいと思います。前半は猫が暴れまわって結構意味不明だけど、中盤くらいからなぜ猫が暴れ回るのか?という背景が明らかになると、楊貴妃玄宗楊貴妃に惚れた男たちの話、そして楊貴妃が亡くなった真相の話になるんです。

私は、この映画における楊貴妃の空虚さが面白いなと思いました。みんなが知る絶世の美女・楊貴妃をマジモンの絶世の美女・张榕容が演じ、登場する男性はみんな楊貴妃に惹かれるけど、楊貴妃の生い立ちどころかそれぞれの男性たちへの思いさえほとんど描かれていなくてまったくわからない。

楊貴妃を慕う男性たちも、楊貴妃に惹かれているのではなく、楊貴妃が発した言葉をいいように解釈して自分の理想を投影しているように見えました。

そしてそれを真実の愛!と言って心酔する白居易

陈凯歌がこれを意図して製作したのかはわからないけど、私はこのみんな楊貴妃を見つめているようで自分だけを覗き込んでいる感じが好きでした。恋愛あるある、恋愛を題材にした創作物あるある。

唯一、主人公の空海が常に感情が全然表面に出ず「無」「微笑」って感じで、楊貴妃自身にもそんなに興味がなさげだが、楊貴妃の苦しみがわかった瞬間だけ取り乱すのが一番楊貴妃自身を見てるんじゃないかと思ったなあ。楊貴妃空海が直接出会ったらどんな会話を交わすのか興味あります。

www.youtube.com

*1:このインタビューで役者の一人が「琅琊榜は男の物語だからヒロインが途中で消える。男は国家とか兄弟の絆を大切にする。女が大事にするのは…愛とか?笑」とか言ってるのがクソ萎えて中指を立てたけど、実際ドラマの中では霓凰郡主もそこまでミソジニーを被ってはいないと思います。というか、彼女は雲南の守備を任されるというゴリゴリの国家権力なんよな。国家権力どうこうを置いても人格もきちんと考えられていて、他の女性キャラクターたちも男に比べて数は少ないけど魅力ある女性たちなので、私みたいにミソジニーが分かり易すぎると死ねや!!!!!となる人も安心して観れると思います。

*2:歴史上活躍した女性の例に漏れず、武則天も「己の野心のために王朝を滅ぼした悪の女」というミソジニーバリバリの評価を受けてきたわけですが、このドラマはその評価を書き換えたいのか、「(己の野心ではなく)皇帝と国への愛のため、(仕方なく)権力を手にした」女として描かれています。「己の野心のために王朝を滅ぼした悪の女」という従来の評価は「男が野心を持つのは良いけど女が持つのはダメ、なぜなら女が野心を持つと男を脅かすから」という男尊女卑観念が元にあるが、新しい武則天像を描こうとしたこのドラマも(武則天個人の知性や慈愛は肯定的に描きつつも)彼女の野心をこれでもかと否定することで、結局この観念に乗っ取ってるんよね。