ラーメンとミュージカル

好きなこと書く

最近観て良かった映画・ドラマ5本(鳳凰の飛翔、ハミルトンなど)

天盛長歌鳳凰の飛翔)

まーーーじーーーーでーーーーどハマりした。70話を2週間くらいで観たのだが、就活があったのでちょっと妥協したところもあり、本当は24時間ぶっ放しで観たかった…。

まあゆうて暇な日は一日10話とか観てたんだけど、ずっと家にいてドラマ観てるor寝るみたいな感じだったので、だんだん物語と現実が反転してきて、物語こそがリアルであり、自分の現実が非現実みたいになってヤバかった。

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まず、ストーリーがめちゃくちゃ面白い。

最初は、主人公の一人・宁弈(第六皇子)たちに色々と企みがあるっぽくて、それを追って行くだけでワクワクする。70話ある中でだいたい3〜4つくらい大きな話があって、最初の話は特に宁弈が練り上げた計画の全貌が徐々に視聴者に明かされる感じなので、なんかミステリーみたいだなと思った。

 

これに加えて重要なのが、キャラクターがメッッッチャ魅力的!!!だからこそ70話まで一気に観れた。

主人公の一人・风知微はものすごく頭が良くかつ信念を持って動くから、敵も作るけどそれ以上に味方をどんどん巻き込んでいくパワーがある。最初は特に知性全開で周りを言いくるめまくるんだけど、周りも結局「おもしれー奴」となってるのがウケる。一方、色々な困難にぶち当たるにつれて人格が変化していくのが嬉しくもあり悲しくもある。

途中で男装する話が続くのだが、骨格がすげ〜〜きれいのがわかってすごく似合う!女の姿に戻ってもハッと息を飲む美しさで、美に拍手・・・・

 
 
 
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また、これは必ずしもメインストーリーではないのだが、知微はシスターフッドの権化みたいな感じで、周りに現れる女性たちを次々と味方につけていくのが面白かった。知微は信念があり知性があり、かつ、周りが言う「女のくせに」という言説を決して内面化しない強さがある。女性たちもそれぞれの目的があって知微の周りに現れるのだが、最終的に人間的に強く結びつくのが良い。時代劇でシスターフッドが描かれるとは思っていなかったのでちょっとびっくりした。

男性キャラも負けず劣らずというか、どんなにちょい役でも個性が透けて見えるのでいつのまにか愛着が湧いてしまうのがすごい。敵でさえちょっと人間味があるのがいいですね。宁弈や知微以外のシーンも楽しんで観れる。あとさすがに70話あるので、物語が進行するとともに彼らの人格も少しずつ変わっていくのが時を一緒にしているようでエモい。

 

で。陈坤(宁弈役の俳優)ですが。

 
 
 
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いや、は???なにこの綺麗な顔???

このドラマでは基本的に前髪をあげているので、顔の造形がわかりやすい最高。表情筋も見えやすい。かっこいいのはもちろんなんだけど、表情の動かし方が個人的にツボでした。片眉上げるやつ超セクシーだよね〜〜〜写真より動いてる時の方がかっこいい。

とにかく彼の顔が本当に芸術作品なのでずっっっと凝視してるんだけど、ヒロインの知微の前だと他のキャラの前で見せる時より表情の種類がすごく増えるんですよね。だから知微と二人のシーンが毎回楽しいね。ザ・恋愛シーンはほとんどなく、恋愛感情だけじゃなくてお互いへの不信感、翻って信頼関係など、色々な感情が育っていく様子を描いてると思うんだけど、それでもこの表情で愛しさが伝わってくるのがマジ・・・・役者すご・・・・・・・と思いました。

 

本当に毎日毎日鳳凰の飛翔のことを考えてたけど、周りで観てる人もほぼいないし感情のぶつけ先がなくて、結局「日々の中国語学習の集中力を上げる」方向に落ち着いた(???) 

腐女子のつづいさん」で、海外アーティストの推しにいつかばったり会った時のために英語を勉強しているお姉さんが出てきたが、わたしも中国語版でそんな感じになった…本当に会った時を夢見ているというよりも、なんかこのエネルギーをどこかにぶつけないと狂う気がして…

 

あまりに感情移入して観ていたので、また感情が動くのがしんどいのでしばらくはこのまま余韻を楽しむつもりなんだけど、ちょっと時間おいたらまた最初から観ようと思っている(マジでめっちゃ好き)。特にラストは解釈が分かれると思うので、私なりの解釈をちゃんと吐き出したい。気持ちが落ち着くまで陈坤の他のドラマをみる…。

Hamilton(ハミルトン)

トニー賞を総なめにし、開幕から5年経ってるのに未だチケットが取れないミュージカル『Hamilton』が、なんとディズニープラスで配信されている。

 

初めてニューヨークに行った年がちょうどハミルトンが開幕した年で、ものすごく話題になっているのは知っていたが、チケットが取れなかったので観れなかった。その後ニューヨークには2回行って、毎回ハミルトンのチケットを探したけど、毎回売り切れか500ドルとかのプレミアムしか残っていなくて観られなかったので、配信してくれて本当に本当に嬉しい!!!

『ハミルトン』は、ロン・チャーナウによる2004年の伝記『Alexander Hamilton 』を基に、アメリカ合衆国建国の父の一人アレクサンダー・ハミルトンの生涯をヒップホップ音楽で綴ったミュージカル作品。脚本・作曲・作詞・主演をリン=マニュエル・ミランダが務めている。ヒップホップ・ミュージック、コンテンポラリー・R&B、ポップ・ミュージック、ソウルミュージック、ショー・チューンを融合し、建国の父を含む歴史上実在の人物でさえも白人ではなく有色人種が配役されている。

(引用:Wikipedia

夢中で観たんだけど、泣いたーーー。結構泣いた。ハミルトンの生涯を2時間半で描くわけなので結構駆け足だが、ここはミュージカルの真骨頂という感じで盛り上がりポイントを歌とダンスで最高に盛り上げてくるので、内容は頭に入りつつ感情が揺さぶられる。

何よりやっぱり歌とダンスのクオリティが高すぎる。今までで観た舞台の中で一番完成度高いんじゃないか?と思うくらい。トニー賞でのパフォーマンスを観た時からやば・・・と思っていたが、2時間半これを観れるのは至福! 

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私も初めて知ったが、ハミルトンはカリブ海出身の孤児で、寄付金でアメリカで教育機会を得た苦労人だった。このミュージカルでは、「移民」で「孤児」というハミルトンの属性が何度も強調され、このような者でも建国の父として活躍できる!というザ・アメリカンドリームストーリーが描かれる。これを白人がやってたらぶっちゃけ、あ〜ハイハイ現状はどうですか?とか言いたくなると思う。

しかし「ハミルトン」は、ほぼ全員有色人種のキャストで、ヒップホップの音楽を使ってアメリカンドリームを「語り直す」のである。格差が広がる中で幻想と化してきたアメリカンドリームの価値の再確認、そして全ての人と言っておいて有色人種を除外してきた今までのアメリカンドリームへの異議申し立てが感じられる。

 

ヨークタウンの戦いのところで、ハミルトン(移民)とラファイエット(外国人)が、「Immigrants...We get the job done.」と言って観客が今日イチくらいフウ〜!!!と沸く場面が私はすごく好きだ。

ハミルトンがブロードウェイで開幕したのは2015年で、その1年後にはトランプが大統領に就任した。私が配信を観たちょうどその日、オンライン授業のみを受ける留学生へのビザの発給停止が発表された。副大統領のマイク・ペンスがハミルトンを観に来た時、舞台上で副大統領を演じた役者が、終演後にペンス含む観客に向けて即興で語りかけ、拍手喝采を浴びた。

“We, sir — we — are the diverse America who are alarmed and anxious that your new administration will not protect us, our planet, our children, our parents, or defend us and uphold our inalienable rights. We truly hope that this show has inspired you to uphold our American values and to work on behalf of all of us.”

(引用:‘Hamilton’ Had Some Unscripted Lines for Pence. Trump Wasn’t Happy. - The New York Times

いやでもよくペンスは観に来たよな。無茶苦茶なブーメラン。

このような時代背景の中で、ハミルトンのメッセージはむしろ強く響くと思うし、このメッセージに対する観客の反応も希望が持てる。

 

ディズニープラスは今のところまだ英語字幕しかなくて、私もアメリカの建国の歴史に詳しくないので知らない固有名詞が結構出てくる。まあ内容わかんなくても舞台観てるだけで楽しめるんだけど、より内容を深く理解したい方におすすめなのがこのnote↓

note.com

アメリカ史研究者がハミルトンの全曲(!!)を解説付きで和訳している。歌の行間で起きた戦いや、登場人物のバックグラウンドを、歌詞の合間に入れ込む形でわかりやすく解説してくれているので、noteをざっと読んでから舞台を観るとより楽しめる。 

花木蘭(ムーラン)

中国に戻って、これも陈坤が出てるんだけど、こっちも結構面白かった。鳳凰の飛翔の鬱展開のときに気晴らしとして観たらこちらもド鬱でテンション下がったけど。

video.unext.jp

武術を得意とする娘ムーランは、病弱な父に代わって従軍するため、男になりすまして戦地へと向かう。女であることが周囲に発覚しそうになったところを上官ウェンタイに助けられたムーランは、次第にウェンタイに惹かれるように。しかし戦争は激化の一途をたどり、仲間たちが次々と命を落としていく。そしてついに、ウェンタイが戦死したとの報せが届き……。

(引用:https://eiga.com/movie/79510/

ディズニーアニメのムーランとは全然違い、笑えるシーンほぼ0。恋愛要素もウッッッスイ。戦争の残酷さがこれでもかというくらい伝わってくる映画だ。私はこっちの方が好き。鬱だけどな。

 

主演の赵薇は、「レッドクリフ」でも男装して敵陣に乗り込む孫尚香を演じてるんだけど、何回見ても全く男に見えないのが気になる!ちなみにレッドクリフ趙雲を演じた胡軍も出演してて、「いやもうこれはもはやレッドクリフ」と思った。役柄は全然違うんだけど。 

 

ムーランにしかり鳳凰の飛翔にしかり、中国の作品って割と頻繁に女性が男装すると思うんだけど、なんでなんだろう?日本ではそこまで人気な筋ではないような。

女性戦士とか男装ってジェンダー観がすごく反映されやすい題材だと思うし、単純に「男装して戦う!けどちょっと失敗!結局素敵な男性に助けられて恋に落ちます!」みたいなミソジニーストーリーも見たことはある。

ただ一方で、女性が男性と互角どころかトップの成績を収めて出世街道爆進、女とバレてもまあゆーてなんとかなる、そしてヒーローはそんなヒロインが好きで愛に生きがち、ヒロインの方が現実的、みたいな典型的なミソジニーとは言えないストーリーもある(ムーランと鳳凰の飛翔はこれ)。

男装する女性戦士以外にも、現代中国のジェンダー観はまだよくわからないところが結構ある。まとまった研究書も出てるみたいなので勉強しようと思った。

AJ & The Queen

生きているだけでクソ案件が多い世の中だが、元気になりたいときいつもル・ポール主演のこの作品を観る。

深く愛していた彼氏(実はゲイ専門の詐欺師)に騙され、ほぼ無一文になったドラァグクイーン・ルビーと、薬物中毒で売春婦の母親を持ち児童養護施設から逃げ出してきた10歳のAJがアメリカ中のクラブを旅する、という設定。ついでに詐欺師とその仲間がルビーの生命を狙って追ってくるというおまけ付き。

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このドラマは全体的にコメディ調で観やすく、ル・ポールのショーも毎回あって最高なのだが、同時にネグレクトや薬物中毒など多様なテーマに触れている。内容自体は結構ハードなはずなんだけど、登場人物がだいたいみんな優しい。

 

私はこのドラマの女性の描き方が好きだ。このドラマで女性は、性の対象として描かれることはほとんどない。代わりに出てくるのはルビーたちドラァグクイーンが憧れ心の拠り所にする、強くて「ICONIC」なディーヴァたちだ。もちろんそのディーヴァたちは実際には性的に消費されたり、家父長制に虐げられたりしているのだが、ルビーが語るのは、そういった抑圧にくじけながらも、もがいて抵抗し、輝く女性の姿である。

 

性的に見られたり、品評することが必ずしも悪いとは思わないが、問題は、今の社会は、求めてない、嫌だと言っても「褒めてるんだからいいだろ」的なクソ非論理的な理由を論理的な顔して押し付けられることが当たり前なことだ。私の意思は聞く価値がないと見なされ、抗議しても「女らしくない」「そんな言い方だと誰も聞かない」とドヤ顔をされる。

AJ&クイーンの世界では、女性は常に意思があり、人間だ。私が惹かれるのはルビーと同じくICONICなディーヴァたちだが、彼女らのように世界に大きな影響を与える女性達の他にも、薬物依存に負けつつ必死に闘うAJの母のような様々な女性が、「社会が求める女性らしさ」のフィルターを通すことなく描かれる。人間として祝福されてる気分になる。

 

あとこのドラマを観て初めてドラァグ文化に触れて、そのあとル・ポールのドラァグレースも何シーズンか観たんだけど、なんて素晴らしいんだ・・・と感動しています。自分は表層のほんの一部に触れただけなんだけど。エッセイ読みたいな〜読むか。

Girls Trip(ガールズ・トリップ)

これも元気でる系。これはぶっ飛びすぎて元気でる。

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高校生の頃からずっと一緒のライアンとサーシャとリサとディナ。4人は社会人になり、ライアンは夫と共に成功した自己啓発本著者、サーシャはジャーナリストだったが今はゴシップ・ブロガー、リサは離婚を経験し自分の母と共に2人の子供を育て、ディナは会社勤めだったが同僚に暴力を振って解雇されたばかり。社会人になってからは、中々会えない日が続いていた。ライアンが有名なエッセンス誌が毎年開催する「エッセンス・フェス」の演説に選ばれたのをチャンスに、4人で集まる「ガールズ・トリップ」を計画する。そして4人は会場のニューオリンズに集まるが...。

(引用:https://www.cinemacafe.net/movies/29177/

もともとディナ役のコメディアン、ティファニー・ハディッシュが好きで、彼女の出世作として色々なインタビューで言及されていたのは知っていたが、日本からみれる配信サービスには長らく載っておらず、やっと観れて嬉しかった。

この映画に説明は必要ないと思う。 予告編観るのが一番伝わる。

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予告編の説明欄に「You deserve this.」って書いてあるのが最高!!!!!